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けいおん! 梓×澪 「耳」




「お待たせ、梓」


ドアを開けて、澪が自室に戻ってくる。


今日は土曜日。


梓が澪の家に泊まりにきている。


「どうした、梓?」


ベッドの上で梓がクッションを抱いて縮こまっている。


「えっと、ちょっと緊張しちゃって…」


「そ、そうか…」


こちらも緊張しているようだ。


澪が持ってきたケーキと紅茶を置きながら座る。


「ほら、梓」


「あ、はい」


紅茶の甘い香りに誘われて梓が立ち上がる。


「先輩、美味しいです」


「そ、そうか、それならよかった」


いざ食べ始めると、梓の緊張も解け、いつも通りになった。


嬉しそうな顔をする梓を見て澪もほっとする。


「ほら、梓、ついてるぞ」


「ふぇ?」


夢中になっていた梓の頬を、澪の舌が軽く舐める。


その感触にぴくっと反応して梓が固まる。


「梓は可愛いな…」


「にゃっ」


その小動物のような反応を見て、梓を自分に引き寄せて髪を撫でる。


「もう、先輩…」


「なぁ梓 お願いがあるんだけど聞いてくれないか?」


「は、はい」


まだ内容を聞いてないが、梓はすぐにyesで答えた。


「これをつけてくれないか?」


澪が手に持っているのは、たびたび出てきた猫耳だ。


それを見て再びぴくっと反応するが嫌そうにはしていない。


「それでな、もう一つ聞いてくれるか?」


嬉しそうに梓の頭につけながら、澪がもうひとつ要求する。


梓は黙って頷く。


「これをつけてる間は猫語だけで話してくれないか?」


「にゃ、にゃん?」


首を傾げながらも、梓は澪の望んだことをしている。


「そう、それだよ」


今度は梓を自分の膝下に連れてきて後ろから抱き寄せる。


「可愛いな、梓は…」


「にゃうぅ……」


梓の髪を撫でながら、頬に手をあてる。


梓は目を瞑り、言葉を発しようとしない。


頬を優しく撫でていた澪の指がゆっくりと正面、唇のあたりに近づいていく。


梓がぴくっと、その感触に反応する。


人差し指がゆっくりと移動しながら、梓の唇を這う様に触れていく。


「あっ、…」


今度は澪が反応する番だ。


梓が澪の指先を小さな口で咥える。


その様子は澪からは見えない。


音は聞こえてこないが、梓の口腔の中で指先が舐めまわされている。


その感触に澪は震えながら、顔を真っ赤にしている。


「にゃっ」


いったん口を離して、梓が後ろを向く。


ほんの数センチの間を置いて二人が見つめ合う。


梓はまっすぐな視線を送り、澪はそれに釘付けになっている。


スウッ


服の擦れる音を出しながら、梓が澪の肩に手をかけながら顔を近づけてくる。


ゆっくりと、澪が後ろに倒れていった。


「ん...」


梓の唇が澪のを覆う。


二人ともじっと目を閉じて動こうとしない。


澪が右手を、梓が左手をそれぞれの頬に添える。


しばらくして梓が唇を離した。


「あ、梓…」


変わらず見つめてくる梓に対して澪は視線を反らして恥ずかしそうにしている。


「にゃう?」


まだ猫語で言葉を発しながら首をかしげる。


何か言い出そうにしながらも澪から次の言葉は出てこない。


「んむぅ…!」


またそうしたかったのか、梓が半ば強引にキスをする。


びっくりしていた澪の目は大きく見開いていたが、すぐにとろんとなって閉じられた。


その後、しばらく息を継ぐ間以外は二人は唇を重ね続けていた。
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けいおん! 澪×梓 「冬の音楽室 3」



「あ、先輩っ」


「お待たせ、梓」


昼休みが始まってからすぐ。


音楽室の中で待っていた梓が立ち上がる。


「遅いです、澪先輩」


そう言いながら口を膨らませる。


「ごめんごめん」


澪の方に走ってきた梓が勢い良く抱きつく。


「どうしたんだ、梓」


「こうしたかっただけです」


苦笑している澪に対して、梓はまだむくれている。


「それで、梓」


「はい」


「昼休みに音楽室って、練習とかか?」


二人が恋人になった次の日。


梓が昼休みに音楽室に来てほしいとメールした。


「えっと、そうじゃなくて…」


何か言いにくそうにしている。


口ごもる梓の手を取って長椅子まで連れて行く。


「その、一緒にいたかっただけなんです…」


梓が口を開いたのは座ってから少したってからだった。


反対方向を向きながら言うが、体は澪の方に傾けている。


「そ、そうか…」


予想していなかった言葉に、澪が若干顔を紅潮させる。


梓が体を密着させ、澪が肩に手をかける。


「わたしも、そうだな…」


澪が一呼吸おいてから口を開ける。


「わたしも、一緒にいられる時間は多いほうがいいな…」


「澪先輩…」


梓が澪の方を見上げると同時に、梓が抱き寄せられて顔が澪の胸に埋まる。


「先輩っ、誰か来たら…」


「来ても構わないだろう?」


それ以上何も言わせないとばかりに梓を強く抱きしめる。


「えっと…」


梓はそれ以上何も言わない。


「昼休みって短いな」


「そうですね…」


時計を見ながら澪が残念そうな顔をしている。


梓も同じような顔をしている。


「そろそろ昼、食べないと」


「あ、はい…」


返事をするが、梓はいつものごとく離れようとしない。


ぎゅっと澪の制服を掴んで離さない。


「梓…」


ずっと抱きついたまま、離れようとしないのに対して澪も離そうとはしない。


「そろそろ、いいか?」


「澪先輩」


「ん、なんだ?」


やっと梓が動くが、上を向くだけで離れようとはしない。


「キス、してください…」


しっかり澪の制服を掴んでいる。


「その後に、お昼食べましょう…」


もう昼休みの時間は終わりに近付いている。


すぐに梓が目を閉じる。


ゆっくりと澪が顔を近づけていき、軽く額にくちづけをする。


「あの、澪先輩」


「ん、どうした、梓」


澪が気恥ずかしそうにしている。


「こっちがいいです…」


手で指しているわけではないが、どこかは分かりきっている。


「仕方がないな、梓」


チュッ


澪の行動は早かった。


梓の頬に手をあてて、軽くキスをして離れる。


「ほら、もうすぐ終わるぞ」


「あ、はい」


二人とも慌てて弁当を食べて教室に戻っていった。


けいおん! 澪×梓 「冬の音楽室 2」






「あ、おはようございます、先輩」


梓が目を開けて、すぐに挨拶をする。


「おはよう、梓」


突然の目覚めにも澪は動じずに言葉を返す。


特に音や刺激があったわけではないが、梓はごく自然に覚醒していた。


「あれ、澪先輩だけですか?」


片目をこすりながら、梓があたりを見渡す。


「あぁ、もうこんな時間だし」


二人以外はもう既に帰っていて、夕日は落ちている。


「私たちも帰ろうか」


「あ、はい…」


梓はそう答えるが、なかなか起き上がろうとしない。


「梓?」


「もうちょっと…」


澪の膝枕からなかなか離れようとしない。


もう一度目を閉じてしまう。


「梓、もう遅いんだぞ」


「えぇ…」


梓の願いもむなしく、起こされてしまう。


不満そうな顔をしながら澪についていく。


「澪先輩」


「なんだ、梓?」


二人並びながら校門をくぐる。


「ちょっといいですか?」


「ん?」


澪が横を向くころには梓がぴったりとくっついていた。


「こっちの方が暖かいです」


「そ、そうだな」


梓は気恥ずかしそうに下を向きながら腕を絡めている。


二人並びながら寒空の下を歩いて行く。


特に何か話しをするわけではない。


「澪先輩っ」


交差点で信号を待っていると、梓が腕に力をいれながら口を動かした。


「ん、なんだ?」


もう少しで信号が青に変わるところだった。


「澪先輩は、その…好きな人っていますか?」


「え、わわ、私の?!」


それまでの落ち着いていた感じはもうない。


いつもの恥ずかしがり屋の澪だ。


「い、いないけど…」


「わたし、澪先輩のことが好きなんです!」


「えっ?」


突然のことに澪は驚いているからか、次の言葉が出てこない。


梓もそれ以上は何も言わない。


二人が間近でじっと見つめ合う。


「わ、わたしは…」


梓の視線と求めているものに耐えられなくなったのか、澪が目をそらす。


その梓は何も言わず、じっと答えを待っている。


信号がもう既に2回も変わっている。


「先輩っ!」


腕をいったん離されたかと思うと、梓が背を伸ばして澪の顔を引き寄せる。


「あ、梓っ!?」


前よりも二人の距離はぐっと近くなる。


澪の顔は真っ赤になっていて、目の焦点はあっていない。


梓も少し顔を赤くしながら、ぼうっと澪のことを見つめている。


ほぼ二人同時に目を閉じ、唇を重ねる。


どちらから先に顔を近づけていったかはわからない。


ほんの一瞬だけキスをして離す。


二人とも見つめ合ったままなかなか言葉を発しようとしない。


「澪先輩…」


澪が恥ずかしさに視線をそらす。


「な、なんだ、梓…」


梓が頬に手をあてて向き直させる。


今度は梓が澪の唇を奪うようにキスをする。


さきほどとは違って長いくちづけだ。


二人とも微動だにしない。


梓から顔を離す。


「なぁ、梓…」


口を離すが、体を離そうとはしない。


「もう少し、こうしてていいですか」


「あぁ、もう少しな…」


澪が手を背中に回して強く抱き寄せる。


「先輩、暖かいです」


「そうだな…」

けいおん! 澪×梓 「冬の音楽室」




「あれ、梓だけか?」


ドアを開けて澪が部室に入ってくる。「あ、はい、澪先輩もですか?」


「ああそうなんだ」


他の3人は珍しく一緒に来ていない。


ギターを置いて梓が歩いて来る。


「私のことは気にしないでいいから」荷物を置きながらついてくる梓に言う。


「あ、いえ、今休憩しようとしてたところです」


そう言って梓も一緒に座る。


紬が来ていないのでお茶はまだでていない。


「ふぅ」


澪が椅子に腰掛けてすぐため息をつく。


「どうしたんですか?」


梓がすぐにそれに反応して聞く。


「あぁ、律と唯がな…」


何かをやらかしたらしい二人は今は職員室らしい。


「はぁ…、あれ、そういえばムギ先輩は?」


「あぁ、別に用事があるとかで…」


それから他愛のない会話が続く。


他の三人は一向に現れないが二人はあまり気にせず話を続ける。


「あの、先輩」


「ん、どうしたんだ?」


「部屋、寒くないですか?」


「あぁ、確かにそうだな…」


十二月なので寒くないわけはない。


「ん?」


何かに気づいた澪が立ち上がる。


「暖房が止まってるぞ」


「え、本当ですか?」


驚く梓だが寒さで動けないからか、立ち上がったりはしない。


「どうなってるんだ?」


澪がパネルを操作するが一向に動こうとしない。


「うう…」


寒さに梓がガタガタと震えている。


「梓、大丈夫か?」


「だ、大丈夫じゃない…です…」


最後の方は小さくて聞こえてきてない。


「そうだ、梓、暖房以外で暖かくなる方法ならあるぞ」


「え、どうするんですか?」


突然そう言われて梓は何がなにやらという顔をしている。


「ほら、梓」


「澪先輩?」


椅子から引っ張り上げられ、長椅子に連れてかれる。


「ほら、暖かいだろ」


「あ、はい…」





二人並んで座って密着している。


澪が持っていた上着を梓にかける。


「えっと、先輩」


「ん、どうした、梓?」


「な、なんでもないです」


澪の方をちらっと見てまた正面を見る。


梓の肩にかけた手で梓をさらに自分の方に寄せる。


それに応じて梓も澪に寄りかかるように体を傾ける。


「あ、こっちの方がいいか」


「ふわっ、せ、先輩」


うまいこと澪が梓の体を自分の前に倒す。


いわゆる膝枕と言われる状態になる。


「こういうのは嫌か、梓?」


「い、嫌じゃないです…むしろ……」


梓はそう言ったきり目を閉じてしまい、しばらくして眠りについてしまった。

リリカルなのはvivid アインハルト×ヴィヴィオ 「プレゼント」




「あ、アインハルトさん」


「ヴィヴィオさん」


学校が終わった放課後。


二人とも用事があると言って別に帰ったのだが、二人はある店の前でばったりと会った。


「用事って」


「同じお店だったんですね」


二人が入ろうとしているのは、小さい雑貨店。


街の中心から離れたところにある古風な店だ。


中には二、三人ほど先客がいる。


「入りましょう」


「あ、はい」


ヴィヴィオがアインハルトの手を引いて店に入っていく。


「あ、これ可愛い」


小さいキーホルダーを手に取りながらヴィヴィオが目を輝かせている。


「可愛いですね」


側に寄っていってキーホルダーを見つめる。


「うーん…」


「どうしたんですか?」


つい先程まで瞳を輝かせていたヴィヴィオが、何か悩んでいる。


アインハルトはごく自然に聞く。


「あ、な、なんでもないんです」


突然慌てたようにヴィヴィオが誤魔化す。


「はぁ」


アインハルトはなんのことやらという顔をしている。


「あ、これ、アインハルトさんに似合うと思いますよ」


そう言って、近くにあったリボンを手に取る。


この店はいろいろな物が所狭しと置いてあって思わぬものとの出会いがあるようだ。


ヴィヴィオが持っているのは赤い、小さいリボンだ。


「そ、そうですか?」


「ほら、似合ってますよ」


手近にあった商品の鏡を見ながら、アインハルトの髪にそえる。


「わ、私は、その…」


鏡に写った自分の姿を見ながら、恥ずかしそうに視線を下にそらす。


「アインハルトさん、ちゃんと見てください」


ヴィヴィオにせがまれては見ざるをえない。


強引さは母親譲りだ。


「あ、ヴィヴィオさん、こっちに」


「なんですか?」


ちらっと横を見てからヴィヴィオに声をかける。


視線の先には同じようなリボンがあった。


少し大きめで、こちらの色は青い。


手にとって、ヴィヴィオと同じことをする。


「ヴィヴィオさんに似合うと思いますよ」


「え、そ、そうですか?」


いざ自分が勧められるとヴィヴィオも少し恥ずかしそうにしているが、こちらは素直に嬉しそうな顔をしている。


「ヴィヴィオさん、失礼します…」


「えっ?」


ごくごく自然な感じで、アインハルトがヴィヴィオのリボンを両方解いていく。


突然のことに、ヴィヴィオは固まってしまう。


もう一度、アインハルトがリボンが似合うかどうかを確認する。


「これ、買ってきますね」


「え、あの…」


アインハルトはさっさと会計の方に歩いていく。


それにヴィヴィオもついていく。


もちろん、片手にはさきほどのリボンが握られていた。








会計を済ませた二人は、にすぐに店を出た。


「それじゃぁ、帰りましょう」


「あ、はい」


その後、二人はたいして会話もせずに帰り道を歩いていた。


リオやコロナが見たらさぞ不思議そうな顔をしたことだろう。


「あ、アインハルトさん」


「な、なんですか?」


やっとのことで口を開いたのはヴィヴィオだった。


しかし、アインハルトの方を向く動きも口もぎこちない。


「ちょっと公園に寄ってきませんか」


「いいですよ」


アインハルトは落ち着きを取り戻しつつある。


ヴィヴィオは対照的にまだ戻っていない。


「あっ」


アインハルトの手を取ってひっぱっていく。


「ちょっと座りましょう」


「えぇ」


少し戸惑いながらも、アインハルトはヴィヴィオが指差すベンチへ腰をおろした。


ふぅとヴィヴィオはため息を一息ついてから座る。


「あの、ヴィヴィオさん」


「あ、は、はいっ」


座ってすぐに話しかけられたのは、落ち着こうとしたヴィヴィオにとっては不意打ちだった。


「さっき買ったものなんですが」


「はい」


ヴィヴィオは緊張し始めたのか、アインハルトの方を向く動きがぎこちない。


「よかったらもらってくれませんか?」


「えっと…」


ヴィヴィオはすぐにはいと言わない。


「会って、その…一ヶ月の記念に」


「あ、ありがとうございます」


ぎこちない動作で、ヴィヴィオが受け取る。


「それじゃぁ、私からも」


「ヴィヴィオさん、ありがとうございます」


こちらは落ち着き払って受け取る。


「それと、ヴィヴィオさん」


「はい」


受け取ったのもつかの間、アインハルトがすぐに話しかけてくる。


「え、あの…」


すぐにアインハルトが顔を近づけてくる。


ヴィヴィオはどうすることもできない。


チュッ


頬に軽く口付けをする。


「こういう習慣があると聞いたのですが」


「え、え?」


した当人も顔を赤くしている。


された側はもっと赤い。


「ヴィヴィオさんのお母様から聞いたのですが…」


「え、ど、どっち?」


ヴィヴィオはやっと思考が追いついたのか、その母親の名前を問いただす。


「フェイトさんからです」


「そ、そうなんだ…」


ヴィヴィオは余計に混乱していく。


「あの、イヤでしたか?」


「い、いやじゃないです…その、えっと…」


ヴィヴィオが下を向いて恥ずかしがっている。


「それじゃぁ、もう一度」


今度は頬ではなく、唇の方にせまっていく。


ヴィヴィオは動こうとせず、一瞬逡巡したがすぐに目を閉じた。


さきほどよりも少しだけ長いキスだった。


「ヴィヴィオさん…」


いったん離れ、ヴィヴィオの頬に手を当ててじっと見つめてくる。


ヴィヴィオはまた目を閉じざるを得なかった。

リリカルなのはStrikers フェイト×キャロ 「抱擁」



「ただいま、ヴィヴィオ」


「おかえり、フェイトママ」


六課のいつもの風景。


仕事から帰ってきたフェイトをヴィヴィオが廊下で待って迎える。


「あ、キャロ」


「フェイトさん、お仕事終わりですか?」


報告書か何かの書類を抱えているキャロが通りかかった。


「キャロこそどうしたの?」


「あ、はい、提出し忘れた書類があって…」


「いってらっしゃい」


「いってきます」


キャロは急ぎ足で隊舎の方へ行く。


「フェイトママ、ぎゅってして」


「はい、ヴィヴィオ」


仕事に行くキャロを横目にヴィヴィオが抱き上げられる。


この親子ではいつもの風景だ。


キャロはその光景をちらっと、ではなく五、六秒ほどぼうっと見てから歩き始めた。


「あれ、キャロ?」


「あ、なのはさん」


仕事を終えたもう一方の母親がもどってくる。


「提出し忘れ?」


「あ、はい…」


すぐに持っているものからキャロが何をしようとしているのかを当てる。


恥ずかしそうにキャロがみとめる。


「キャロ、元気なさそうだけど大丈夫?」


「え、そ、そんなことないですよ」


今は激務でもなく、疲労もたまらない程度の訓練しかしていない。


「そう、ならいいんだけど」


その声が聞こえてるのかいないのか、キャロは駆け足で隊舎へ向かった。











次の日の昼間。


午前の訓練が終わってフォワードのメンバーは休憩を取っている。


「お疲れ様、キャロ」


「あ、お疲れ様です。」


昨日のことが気になっているのか、なのはが座っているキャロに話しかける。


「キャロ、元気ないね」


「え、そんなことないですよ」


無理に笑っているのが手に取るようにわかる。


「悩み事、あるんでしょ?」


「は、はい」


お見通しのようで、キャロも素直にうなずく。


「何に悩んでるのか、当てちゃってもいい?」


「え?」


もう十中八九わかってるかのような口ぶりだ。


「ずばり、フェイトちゃんのことでしょ」


「そ、そうです」


簡単に当てられたのに驚いているのか、キャロは目をぱちくりしながらなのはを見上げる。


「んー悩んでることは…」


「なのはさん、その…恥ずかしいので…」


「ヴィヴィオみたく甘えたいとか?」


確信を持ってなのはが指をさしながら言う。


「は、はい」


キャロの頬がだんだん朱色に染まっていく。


うつむきながらキャロが観念したように言う。


「だって、フェイトちゃん」


「ふぇっ?!」


なのはが振り返り、キャロがその方向に視線を向ける。


「ごめん、キャロ」


「フェ、フェイトさん」


キャロの顔が前以上に紅潮していく。


「恥ずかしがらなくてもいいんだよ、キャロ」


「え、で、でも」


そう言って、そそくさとなのはは退散していく。


周りにはもう人はほとんどいない。


少なくとも二人の視界には誰も入っていない。


「おいで、キャロ」


フェイトがしゃがんで両手を伸ばしてくる。


距離にして五メートルほどだ。


しかし、キャロはなかなか動こうとしない。


緊張と羞恥心があいまってその場で固まってしまっている。


「どうしたの、キャロ?」


満面の笑みでおいでとフェイトが手を伸ばしている。


ゆっくりと一歩一歩、キャロが足を進めていく。


「フェイトさんっ」


最後の一歩のところは、ほとんど飛び込むような格好になっていた。


「キャロもまだまだ甘えん坊さんなんだから」


フェイトが軽く、ヴィヴィオの時のように抱き上げる。


「もう仕事だから、少しだけね」


「はい、フェイトさん」


つかの間の安らぎの時間。


二人は落ち着いた、幸せそうな表情をしている。


ほんの三分ほどの抱擁だった。


「あの、フェイトさん」


「なに、キャロ?」


そっと下ろされてから、キャロが言いにくそうに口を開ける。


「また、明日もいいですか?」


「うん、いいよ」


キャロの顔がぱあっと明るくなる。


「それじゃぁ、仕事に戻ろっか」


「はい、フェイトさん」


二人は皆より少し遅く仕事に戻っていった。


リリカルなのはA's なのは×フェイト 「指ちゅぱ」



「フェイトちゃんの手って綺麗だよね」


宿題を前にしていたなのはが手を止めて唐突に言う。


「え、そ、そう?」


「うん、すごく綺麗だよ」


褒められて、フェイトはまんざらでもなさそうだ。


「ねぇ、フェイトちゃん」


「なに、なのは?」


鉛筆から手を離して、なのはが身を乗り出す。


そのまま、ノートの上にのっていたフェイトの手を掴む。


もちろん、フェイトは驚きこそすれ、拒否などしない。


「ちょっと、いいかな」


「うん、なのは」


何がいいのかも伝えていない。


しかし、なのはのいい?にはフェイトはイエスとしか答えない。


回答はすぐにきたが、肝心のなのはは何もしようとしない。


フェイトの片手を掴んだまま、じっと緊張したかのように動かない。


「なのは?」


「あ、あのね」


珍しく、なのはの方が恥ずかしがっている。


一方のフェイトはごくごく自然な、普通通りの表情をしている。


「なんだか緊張しちゃうね」


「え、そ、そう?」


そう言いながら、なのはがゆっくりとフェイトの手を自分の顔に近づけていく。


やっと、フェイトの顔も少しずつだが赤くなってきた。


ゆっくりと、なのはがフェイトの指先を口に近づけていく。


舌先で、フェイトの人差し指をちろっと舐める。


「あっ…」


それにフェイトも声をだして反応する。


二人とも、顔が今までで一番紅潮している。


「フェイトちゃん、ドキドキしてる?」


「う、うん」


顔をそらしながら小さな声で答える。


なのはがおそるおそる伸ばした舌先が震えながらフェイトの指先に触れる。


「あっ」


小さな声でそのわずかな感触にフェイトが反応して肩をびくっと動かす。


「なのは」


「なに…フェイトちゃん…」


フェイトは緊張し、なのはの顔は少し熱があるようにぼうっとしている。


「な、なんでもない」


「そう…」


フェイトは何か言おうとしたが顔をそらして何も言おうとしない。


「フェイトちゃん、いいかな?」


「えっ」


チュプ


その声を発した時には既にフェイトの指先は、なのはの口腔の中だった。


フェイトは石のように固まって動かない。


吸いつくように小さな指を自分の中で味わう。


目を閉じ、ゆっくりと舌を上下に動かす。


フェイトもその感触に瞼を下ろし始める。


なのはが一旦止めて上目遣いに見上げた。


フェイトが息をのみこんだ。


今、胸に手をあてれば心臓の鼓動がはっきりと伝わってくるだろう。


「フェイトちゃん」


「なに、なのは?」


少しだけ間を置いてからなのはが口を開ける。


「おいしいよ、フェイトちゃん」


「え、う、うん…」


フェイトは短く言葉を返す。


くすっとなのはが笑ったかと思うと、今度は人差し指だけでなく、中指も味わいはじめる。


口の中に入れずに舌で下から舐め上げていく。


その感触にフェイトの意識は少しずつ薄らいでいく。


フェイトの目の焦点が合わなくなり始めたあたりでなのはは止めて口を離す。


フェイトの意識は数秒で戻ってきた。


「ねぇ、なのは」


「なに、フェイトちゃん?」


フェイトが恐る恐る声を出す。


「わたしも、いい?」


「フェイトちゃん、どうしたらいいのかはっきり言わないとわからないよ」


いじわるをして喜んでいる時のものに変わっていた。


「えっと、なのはの…」


「なに、フェイトちゃん」


満面の笑みでフェイトの言葉を待つ。


「わたしも、なのはの指を舐めたい」


「はい、どうぞっ」


よくできましたとばかりにフェイトに人差し指を出す。


両手でしっかりと手首を掴み、顔を近づけていく。


「んっ…」


フェイトの舌が触れて、なのはが反応する。


さきほどのように音はたてない。


舌先で軽く触れて離れたりを繰り返している。


なのはにとってはこれがいいようだ。


「フェイトちゃん、気持ちいいよ」


「う、うん…」


一旦口を離して上目遣いになのはを見る。


「フェイトちゃん、もっと、して…」


「うん、なのは」


そう請われて、すぐに指先を口に含む。


夢中で、だがゆっくりと味わっていく。


幸せそうな顔をしながら、なのはの意識は薄らいでいった。


リリカルなのはA's なのは×フェイト 「弱点」



「ねぇ、フェイトちゃん」


「何、なのは?」


いつもの、放課後の二人きりの時間。


今日は高町家だ。


「フェイトちゃんの弱点ってどこ?」


「え、弱点?」


唐突なことに、フェイトはきょとんとしている。


「どうしたの、なのは?」


「うーんとね」


一呼吸置いてなのはが続ける。


「フェイトちゃんってね、かっこいいし、勉強もできるし、運動神経もね」


「う、うん」


ストレートに褒められて、フェイトは照れている。


「うーん」


なのはがフェイトに近づいてくる。


「フェイトちゃん、目瞑ってくれる」


「う、うん」


なのはの言うことを素直に聞く。


フッ


目を瞑ってすぐ、近づいていたなのはが耳元で息を吹きかける。


「ヒヤッ!な、なのは!」


思わずフェイトが大きな声を出す。


「だーめ、フェイトちゃん目閉じてて」


「ご、ごめん」


目の前にせまっているなのはに言われて、また素直にその通りにする。


「うーん」


「ねぇ、なのは」


なのはは何か悩んでいるようだ。


「なのは」


「なに、フェイトちゃん?」


真剣に何か考え込んでいたのか、二言目で気づく。


「もう目あけていい?」


「だーめ」


言うことを予想していたのか、即答だった。


「こっちはどうかな?」


「えっ」


その一言にフェイトが反応して身構える。


しかし、フェイトの神経はなかなか触れられた感覚を伝えてこない。


「ヒャッ!!」


さきほどと同じ声だが今度はひときわ高い。


「な、なのはっ」


フェイトが身をよじらせているが、なのはは容赦しない。


フェイトを後ろから抱きしめるようにして脇をくすぐっている。


「フェイトちゃん、ここも弱いみたいだねっ」


「な、なのはっ、いやっ」


フェイトは目を瞑ったまま必死にもがいているが、なのはの拘束は解けない。


その反応をなのはは笑顔で見ている。


「フェイトちゃん、本当にいや?」


「う…、い、イヤじゃないかも」


一瞬なのはの攻撃がゆるんだところで、フェイトがゆっくりと振り返る。


「フェイトちゃん、目開けちゃだめだよ」


しかし、相変わらずなのはは容赦ない。


「もう、フェイトちゃん仕方ないんだから…」


そう言って、ポケットに入れていたアイマスクを手際よくフェイトにかける。


「な、なのは」


「どうしたの、フェイトちゃん?」


「な、なんでもない」


「フェイトちゃんにはおしおきだねっ」


そう言ってフェイトを離して立ち上がる。


なのはが離れて、安心したのもつかの間。


フェイトはなのはがなかなか来ないからか、そわそわし始める。


「フェイトちゃん、お待たせ」


「うん」


フェイトがその声に身構える。


なのはが今度持っているのは、絵で使う筆だ。


「まずは…」


フェイトの手を取って手の平に筆の先端を当てる。


ゆっくりと円を描くように動かしていく。


今度はフェイトは声を上げない。


「あれ、フェイトちゃん?」


かわりに肩を震わせて小さく反応している。


今までの反応と少し違うことに、なのはは少し首を傾げる。


「フェイトちゃん、どう?」


「ど、どうって…」


フェイトが言葉を探している。


手から今度は首筋へと場所を変える。


相変わらずフェイトは声を出さない。


そのかわり、フェイトの表情は嬉しそうなものに変わっていく。


「フェイトちゃん、気持ちいい?」


「う、うん」


「じゃぁ、毎日こうしてあげる」


なのはが耳元で囁くと、フェイトは黙ってうなずいた。



リリカルなのはA's なのは×フェイト 「大人」



「あれ…」


今日は日曜の朝。


なのはがベッドから起き上がる。


あれと言ったのは、彼女の隣が空いていたからだ。


「どうしたの、フェイトちゃん」


「あ、なのは」


ベッドから出ていたフェイトが振り返る。


「な、なんでもないよ」


とっさに出てきたのがその言葉だった。


「んー?」


目をこすりながら、なのはがフェイトに近づいていく。


明らかに何かを疑っているような目だ。


「フェイトちゃん、本当になんでもないの?」


少しずつ近づいてくるなのはにフェイトが一歩後ずさる。


カタッ


二歩目のところで何かが落ちた。


「あっ」


なのはがとっとっと近づいていってそれを手に取る。


「写真?」


なのはが手に取ったのは写真立て。


「あ、あのね、なのは…」


フェイトが何か言おうとしている。


それに対して、なのはは首をかしげている。


「フェイトちゃん、どうしたの?」


持っているのは高町家の写真。


なのはとフェイトの二人の写真ではない。


「えっとね、その…桃子さん綺麗だなって」


「えっと、フェイトちゃん…」


フェイトが素直にそう答えたのに対してなのははきょとんとしている。


「なのはも大人になったら桃子さんみたく素敵になるのかなって…」


「フェイトちゃんっ」


ぼうっとしていたなのはがその言葉にはっとなってフェイトを見つめる。


「ねぇ、なのは」


「なに、フェイトちゃんっ?」


「大きくなれる魔法って知ってる?」


「大きくなる、何が?」


なのはの目が再び点になる。


「大人になる魔法だよ」


「お、大人になるって…」


突然のことになのはは頭が追いついていけていない。


「ねぇ、なのは試しにやってみない?」


「え、えっと、危なくないの?」


「うん、大丈夫だよ、先に私がお手本を見せるね」


「う、うん」


 








変身は一瞬だった。


フェイトは当然、パジャマではなくバリアジャケットを着ている。


その様子をぼうっとしながら見ている。


「ど、どうかな?」


はじめてなのはに見せているからか、フェイトは恥ずかしそうにしている。


「ね、ねぇ、なのは…」


何も言ってこないなのはに、フェイトが余計に顔を赤らめて言葉を求める。


「フェイトちゃん」


「な、なに、なのは」


今度はなのはがフェイトの手をとる番だ。


「フェイトちゃん、結婚して」


「う、うん」


正直ななのはの言葉に、フェイトも素直に答える。


そのままじっと見つめあう。


「ねぇ、なのは」


「なに、フェイトちゃん」


「戻ってもいいかな」


「あ、うん、ごめんね」


ようやくフェイトが解放された。


おおよそ、十分ほど二人は見つめあっていた。


「今度はなのはの番だよ」


「うん、うまくできるかな」


そう言いながら、フェイトから教えてもらったとおりに詠唱していく。


光に包まれながら、フェイトと同じように大きくなっていく。


バリアジャケットはほとんど変わらない。


髪型もほぼ同じだが、少し伸ばしている。


「ど、どうかな、フェイトちゃん」


予想通り、フェイトはぼうっとしている。


「ねぇ、なのは」


「なに、フェイトちゃん」


「ちょっとお願い聞いてくれる?」


「うん、なに、フェイトちゃんっ」


フェイトが息を吸いながら、手をとる。


「お姫様抱っこしてくれる?」


「い、いいよ、フェイトちゃん」


大胆なフェイトの発言に驚きながらも、なのははそのお願いをすぐに叶えようとしてくれる。


ひょいっとフェイトを抱き上げる。


「なのはっ…」


間近に迫るなのはの顔にフェイトが緊張で顔を強張らせる。


「フェイトちゃん、今度は私のお願い、聞いてくれる?」


「なに、なのは?」


今度はなのはの番のようだ。


「キスして、いい?」


「う、うんっ」


同意する言葉を聞くと同時になのはがフェイトの唇をふさぐ。


一瞬だけのキスだった。


「はい、フェイトちゃんっ」


「ありがとう、なのは」


すぐにフェイトを下ろす。


「ねぇ、なのは、もうひとつだけいい?」


「なに、フェイトちゃん」


交互にお願いをしあっている。


「なのはママって呼んでいい?」


「えっ!?」


さすがにこれにはなのはもすぐに答えられない。


「じゃぁ、今日だけフェイトちゃんのママになってあげる。」


「なのはママっ」


再びフェイトが抱き上げられる。


二人の甘い1日が始まった。

リリカルなのはA's なのは×フェイト 「キス」



「ただいま、母さん」


「おかえり、フェイト」


いつもの親子の会話が玄関で交わされる。


「おじゃまします」


「いらっしゃい、なのはさん」


今日はなのはがフェイトの家に泊まりに来ている。


「そういえば、忘れてたわ」


ただの帰宅の挨拶で何を忘れたのか、となのはは首をかしげる。


「おかえりの」


そう言って、フェイトの唇に軽くキスをする。


「母さん、なのはがいるのに恥ずかしいよ」


「あら、恥ずかしがることじゃないでしょ」


いつもの笑顔でリンディがさらっと返す。


「フェイトちゃん家はこうなんだ」


途中から棒読みになりかけながらも、なのははなんとか笑顔で誤魔化す。


「なのはさんもっ」


「えっ…」


と驚いている間になのはも唇を奪われる。


「これは、いらっしゃいのキス」


すぐにリンディが離れると、なのはは口をぱくぱくとさせていた。


「もう、母さんったら…」


フェイトは顔を赤くしながら、横で申し訳なさそうにしている。


「さぁ、くつろいでいって」











「ねぇ、なのは」


「なに、フェイトちゃん」


寝る前のふたりだけのひととき。


いつもなら、長く話したりする時間だが今日は少し様子が違う。


なのははそっぽを向いたように背を向けている。


「あのね、母さんは…その…」


フェイトはすぐに本題に入ろうとしない。


どう言っていいか、言葉に迷っているようだ。


「その、なんていうか」


「フェイトちゃん」


会話が続かないことにじれったくなったのか、なのはがフェイトの方を向く。


「あっ、んっ…」


なのはが少し強引にキスをする。


すぐに離れてなのはが口を開く。


「フェイトちゃん、もっとしよう」


「あ、う、うん」


しようというのは、もちろんキスのことだ。


「今度はフェイトちゃんからっ」


「うん…」


遠慮がちに、フェイトが唇を重ねる。


「うーん…」


「どうしたの、なのは?」


離れたなのはが、何か疑問があるのか


「リンディさんのキスは、もっと…こう…」


「もっと?」


そう言いながら、なのはが再びフェイトの唇に自分のを重ねる。


「んんっ」


今度はなのはの舌がフェイトの唇を嘗め回したり、口の中に入ってきたりする。


フェイトはその今まで味わったことのない感覚に身をゆだねて動こうとしない。


「フェイトちゃん、どう?」


なのはの問いかけにフェイトは答えようとせず、ただぼうっとしてる。


「なのは、も、もう一度してくれる?」


「うん、いいよ、フェイトちゃん」


なのはもフェイトも、こうしてリンディによって大人の階段へと導かれていった。

魔法少女リリカルなのは なのは×フェイト 「ぬいぐるみ」




いつも通りの放課後。


フェイトの家になのはが来て、二人で話しをしている。


最初の頃はどちらかが、ベッドに腰掛けていたが今日は二人でベッドに並んで座っている。


「あ、これなに、フェイトちゃん?」


「え、なに?」


なのはが何かに気づいたらしく、枕のあたりで手を動かしている。


「あっ、そこはっ」


なのはの側なので、フェイトが何かできるわけでもない。


「これって…」


枕の下にあったものを両手で持ち上げながら少し驚いている。


なのはが手にしているのは、自分の外見をしたぬいぐるみだ。


「あ、あのね」


フェイトはかなり慌てている。


「フェイトちゃん、上手だね」


だが、なのはの反応はフェイトが想像していたものとは違っていた。


「え?」


二十センチほどのぬいぐるみを持ち上げながらフェイトの方を向く。


「そ、そうかな?」


「うん、こういうの得意だったっけ?」


「うん…」


慌てていたフェイトだったが、一転気恥しそうにしている。


「そういえば、なんでフェイトちゃん私のぬいぐるみを作ったの?」


「え、そ、それは」


やっとフェイトが聞かれると思っていた質問が飛んできた。


なのはは普通に質問をしたつもりだが、フェイトは答えづらそうにしている。


一方のなのははいつも通りの表情でフェイトのことを見つめながらじっと答えを待っている。


「その…なのはと近くにいられるのはわかってるんだけど…」


「うん」


フェイトの小さくなっていく声になのはがうなずく。


俯きながら、次の言葉を続ける。


「やっぱり…その、寂しくなる時があって」


最後の方は消え入りそうだった。


なのははその声もしっかり聞き取っていた。


「フェイトちゃん」


名前を呼びながら片手でフェイトの手を握り締める。


「なのはっ」


突然の手の感触にフェイトが反応して顔を上げる。


そっとなのはがぬいぐるみを置きながら、もう片方の手でフェイトの手に添える。


「フェイトちゃんってば、寂しがり屋なんだから」


苦笑しながらなのはは笑顔を向けてくる。


「う、うん」


フェイトは素直にうなずいた。


「あのね、なのは」


「何、フェイトちゃん」


言葉を続けるフェイトになのはが耳を傾ける。


「なのはと離れたくないの」


「うん、ずっと一緒だよ、フェイトちゃん」


なのはがすぐに言葉を返してくる。


フェイトがもう一方の手で握り返してくる。


「なのは…」


ベッドに座る二人がじっと見つめ合う。


「今日は泊まっちゃおうかな」


「え、いいの?」


「うん、大丈夫、すぐに連絡するから」


そう言ってなのはが携帯を取り出す。


フェイトはうれしそうな表情をしている。


「フェイトちゃん、ちょっと待っててね」


「あ、うん」


ぬいぐるみを手に抱えながらうなずく。


それじゃと言ってなのはが部屋から出ていく。


フェイトはベッドに座りながら待っている。








「お待たせ、フェイトちゃん」


なのはが戻ってくるのにさほど時間はかからなかった。


「おかえり、なのは」


着替えその他を持ったなのはをフェイトが笑顔で出迎える。


「ただいま、フェイトちゃん」


いつものようになのはが泊まりにあがる。


「フェイトちゃん、実はね」


「なに、なのは」


荷物を置いたなのはが振り返る。


「実はね、私も持ってるんだ」


「えっ」


そう言ってなのはがバックから何かを出す。


出てきたのはフェイトのぬいぐるみだった。


「いつも寝る時にぎゅってしてるんだ」


そう言いながら、胸元で抱きしめる。


「そ、そうなんだ」


「フェイトちゃんは?」


「私も、同じ…」


「にゃはは、一緒だね」


「うん」


二人同時に笑い始める。


「でも…」


「えっ」


フェイトの手を引っ張る。


「こっちの方がいいかな」


「なのはっ…」


二人がベッドに倒れこむ。


「フェイトちゃん、いつか一緒に暮らそうね」


覆いかぶさるように、抱きついてくる。


「うん、なのは」


そう言ってフェイトが目を閉じた。

リリカルなのはStrikers フェイト×ギンガ 「練習」





「あ、フェイトさん」


「あ、ギンガ」


ちょうど夕方に差し掛かった時間帯。


地上に戻ってきていたフェイトと、ギンガが鉢合わせる。


「ギンガはもう帰り?」


「はい、そういうフェイトさんもですか?」


「うん、そうだよ、わかった?」


フェイトにしては珍しく、早くに帰宅できるのでとても嬉しそうな顔をしている。


「乗ってく?」


「あ、はい」


鍵を出しながら、フェイトが聞き、すぐにギンガが応える。


「今日は早いですね」


「うん、書類と会議だけだったからね」


「ギンガも今日は何事もなかった感じ」


「あ、はい」


二人の普通の会話が続く。


「あの、フェイトさん」


「なに、ギンガ?」


一呼吸置いて呼びかけるのに、フェイトもそこから何かを感じ取る。


「ちょっと相談してほしいことがあるんですけど」


「うん」


運転に集中しながら、フェイトが促す。


「最近、スバルと会えてないんですけど」


「仕事が忙しいの?」


「はい、それで…」


ギンガが少しうつむく。


フェイトは何も言わず、続けるように促す。


「その、不安になる時があるんです」


「うん」


一呼吸置いてフェイトがうなずく。


「ちゃんとスバルの姉ができてるのかって…」


「大丈夫だよ、ギンガはちゃんとできてる」


ギンガの声小さくなっていくのに対して、フェイトはいつも通りのトーンの声だ。


「心配しすぎだよ、ギンガ」


「そ、そうでしょうか…」


まだギンガの声は小さいままだ。


「もうひとつ、不安なことがあるんです?」


「なに、ギンガ?」


「今度会う時、うまくスバルとキスができるか不安で…」


「ん?もう1回言ってくれる、ギンガ?」


さすがのフェイトも驚いて少し声が上ずっている。


「その、久しぶりにキスをするんでうまくできるか…」


「そ、そう…ナカジマ姉妹はそうなんだ…」


「は、はい、それで…」


それ以降は何も言わない。


車の中になんとも表現しづらい雰囲気が漂う。


しゅんとなったままのギンガと、何事もなかったかのように運転するフェイト。


フェイトの首筋から一筋の汗が流れる。


どうしたものか考えながら、ハンドルを握っている。


「そ、そうだ、ギンガ」


「は、はい」


渋滞に引っかかって車が止まる。


「私で練習す…る?」


「え、フェ、フェイトさん!?」


今度はギンガが驚く番だ。


もうすでにフェイトが手を頬にあてている。


フェイトも少し錯乱しているようだ。


「フェイトさん」


ギンガもそれにあわせて顔を近づけていく。


軽く唇を合わせる。


ギンガが手を後ろに回し、強く押し付ける。


さすがに舌までは入ってきたりはしない。


少ししてから二人は離れる。


「フェイトさん」


「なに、ギンガ?」


「また今度、いいですか?」


「ん、うん…」


フェイトはそう答えてからハンドルを持ち直した。


リリカルなのはStrikers フェイト×はやて 「母子プレイ」6



「ママ、行っちゃイヤ」


「うーん、困ったなぁ」


今高町家にいる人数は二人。


「ママ、本当に行っちゃうの」


「すぐ戻ってくるからおとなしくしてられるよね」


ママと呼ばれている高町なのはは、今日は日帰り出張。


それに「娘」がわがままを言っている状態だ。


「フェイトちゃん、いい子だから大丈夫だよね」


「うー」


いい子いい子されているのは5歳ほどになったフェイト。


心も相当幼くなってしまっている。


「ほら、泣かないの」


「う、うん」


なのはがフェイトの涙を拭う。


ピンポーン


ちょうどいいタイミングでチャイムが鳴る。


「あれ、誰だろ? はーい」


立ち上がったなのはが玄関に向かう。


フェイトはまだ目に涙を浮かべている。


「はやてちゃん、どうしたの?」


「ちょっと休みが取れてな」


玄関の方から声が聞こえてくる。


フェイトはその会話を聞いてない。





「というわけで」


「それじゃぁ、よろしくね」


「まかしてとき、なのはちゃん」


二人の会話が終わり、私服のはやてが来る。


「あれ、なのはママは?」


「なのはママは急いでてな、今日はうちが一日ママや」


「はやて、ママ?」


「そうや、はやてママや」


フェイトはすぐに順応していく。


「はやてママ」


名前を呼びながらはやてに寄ってくる。


「お、よしよし、フェイトちゃんはええ子やな」


すぐにフェイトの小さな体を抱き上げる。


しばし見つめあった後、フェイトが抱きついてくる。


「フェイトちゃんは甘えん坊さんやなぁ」


フェイトの小さな体を抱きかかえて部屋の奥の方に行く。


「ママ、どこにも行かない?」


突然、フェイトが聞いてくる。


「フェイトちゃんは寂しがりなんやな」


「うん」


はやてが一呼吸おく。


「どこにも行かんよ」


「ママ大好き」


チュッ


間髪を置かず、フェイトが空いていた頬に軽くキスをする。


はやての顔が一瞬で赤くなる。


フェイトがすぐにそこから顔を離して、正面から見つめてくる。


はやてはすっかりフェイトの正面から見つめてくる瞳に釘付けだ。


再び、フェイトがキスをする。


今度ははやての唇だ。


フェイトは嬉しそうな顔をしている。


はやても最初は目を見開いていたが、すぐに幸せそうな表情をして目をつむった。

リリカルなのはvivid ヴィヴィオ×アインハルト「告白」



「アインハルトさん」


「何ですか、ヴィヴィオさん?」


放課後の廊下、いつものように二人で一緒に帰ろうとしている。


少し間を置いてから、ヴィヴィオが口をあける。


「今日、うちにきませんか?」


「ヴィヴィオさんのお家ですか?」


アインハルトは何度か行ったことがある高町家だ。


「はい、いいですよ」


いつもの落ち着いた声が返ってくる。


もう一方のヴィヴィオはあまり落ち着いていないようだ。


「それじゃぁ行きましょうっ」


「あ、ヴィヴィオさん」


急がなくてもいいものを、ヴィヴィオが手を引っ張って走っていく。


アインハルトも合わせるように、ヴィヴィオと一緒に走る。








「お茶、どうぞ」


「あ、ありがとうございます」


ヴィヴィオが紅茶の入った二人分のコップを持ってくる。


「今日はお二人ともいないんですね」


「あ、はい、二人とも仕事なので」


まだ昼間なので、高町家の母親達はいない。


いつもは向かって座るところをアインハルトの隣にヴィヴィオが座る。


「あの、アインハルトさん」


かしこまったような声でヴィヴィオが声をかける。


「はい」


アインハルトは落ち着いた表情で返事をする。


ヴィヴィオの顔はいつの間にか緊張した面持ちになっていた。


それにアインハルトは気づいてはいない。


「だ、だ、大事なお話があるんです…」


アインハルトが軽く首をかしげる。


ゴクリ


ヴィヴィオの唾を飲み込む音がはっきりと聞こえた。


「なんでしょう」


それまで落ち着いてコップを手に持っていたアインハルトも感づいたようだ。


二人の距離が少しずつ縮まっていく。


じっと見ながら近づいていくヴィヴィオに対して、アインハルトは横をちらっと見ているような状態だった。


なかなか次の言葉が出てこない。


「アインハルトさん!」


「は、はいっ」


大きな声とともに、ヴィヴィオが両手でアインハルトの手を握る。


「わ、わたし…」


言おうとしている言葉はもう少しのところで出てこない。


アインハルトが握られていない手で、ヴィヴィオの手を握り返す。


本人も意識していない行動だったようだ。


その自分の手の動きをちらっと見る。


「アインハルトさんのことが好きです」


アインハルトの動きがきっかけになったのかはわからないが、ヴィヴィオが最後まで言い切った。


「え、あ、あの…わ、わたしも」


顔を赤くしてヴィヴィオから視線をそらす。


「わたしもヴィヴィオさんのことが好きです」


こちらの返事は意外にもすぐに出てきた。


「えっと…」


「あの…」


二人とも何を言っていいのかわからず、手を握ったままあたふたしている。


「アインハルトさんの手、暖かいですね」


「は、はい、ヴィヴィオさんの手も」


「もう少しこうしてていいですか?」


「はい」


同じようなやり取りが延々と続く。


「あの、そろそろ離しませんか」


アインハルトから離そうと促す。


もう1時間も時間がたっていた。


「ただいまー」


ちょうどいいタイミングでなのはが帰ってきた。


「あ、アインハルトさん、いらっしゃい」


まだ手を握り合った二人を見ても何も言わない。


何事もなかったように着替えに行く。


その姿を二人は呆然としながら見ていた。

リリカルなのはStrikers なのは×フェイト 「母と娘」(「母子プレイのつづきです)



「二人ともごめんね」


「うん、大丈夫だよ」


夕方、陽が沈み始めている時にヴィヴィオは急いで玄関を出ようとしている。


謝っているのはヴィヴィオ「ママ」である。


それに答えるのは小さいなのはだ。


「すぐに帰ってくるから、待っててね」


「うん」


見ていて心配のいらなそうな、小さい子にしては頼もしそうな顔でなのはが見送る。


買い物のメモとを片手にドアを開いて勢いよく走っていった。


いくら大きいとは言え、車は運転できない。


「ん?」


その様子を見ていたなのはが、何かに気づいて振り返る。


小さいフェイトが、なのはの服を引っ張っている。


こちらも7歳児ほどになっていて、精神も同じように幼くなっている。


「どうしたの、フェイトちゃん?」


「な、なんでもないよ」


少しだけうつむき、なのはの方を向かずに小さな声で言う。


「なんでもないでしょ、フェイトちゃん」


うつむくフェイトを正面に見るようにして、なのはが問いただす。


「う、うん…その…」


幼くなって引っ込み思案になったフェイトはなかなか言いたいことを言えない。


かと言って、なのはがそれを責めることもない。


なのはの服を握り締める力が少しだけ強くなり、皺が少しだけ移動する。


「あのね…ママがどこかに行っちゃうような気がしたの」


まだフェイトはうつむいたままでいる。


泣き出し始めそうな顔に変わっている。


「ママはどこにも行かないよ」


「う、うん…」


まるでなのはが母親のようになっている。


「フェイトちゃん、いい子なんだから」


「うん…」


少しだけなのはの方が大きく見えるので、姉のようなものだろうか。


「ほら、いい子いい子」


そう言いながらフェイトの頭を優しく撫でる。


「なのは…」


撫でられながら、フェイトはなのはに体を預ける。


なのはも抱きとめると片手で背中を優しくさする。


「フェイトちゃんったら…」


フェイトの瞳から一粒の涙が流れる。


小さくなっても心配性なのは変わっていない。


寂しがりやなのも変わっていない。


「ほら、泣かないのフェイトちゃん」


「うん…」


人差し指でなのはがフェイトの涙をすっとふき取る。


落ち着きを取り戻したフェイトはもう涙を流さない。


「ママに心配かけちゃうよ、フェイトちゃん」


そう言って、さっきまでいたソファに連れて行こうとする。


「うん」


なのはが手を取って、フェイトが小さな手で強く握り返す。


座ったフェイトは手を離そうとしない。


表情は少し前と変わらず、顔もうつむいたままだ。


「ちゃんとママは帰ってくるよ」


フェイトが何を考えているのかわかったのか、なのはがもう片手もフェイトの手に重ねる。


「うん」


フェイトの表情もいくらか安心したようなものに変わってきている。


「なのは…」


「なに、フェイトちゃん」


フェイトが空いていた手をなのはの手に重ねる。


「なんでもない…」


なのはは何も応えず、そっとフェイトを抱き寄せた。

リリカルなのはStrikers フェイト・シグナム 「猫さん」(ヴィヴィオ×はやて 「猫さん」のつづきです。)



「テ、テスタロッサ……」


「シ、シグナム…」


二人とも次の言葉が出てこない。


シグナムは普段の格好。


フェイトも普通の私服。


リビングのソファに座っているシグナムと、おみやげの紙袋を持ったフェイトが相対している。


隣ではやてが必死で笑い転げるのを抑えている。


今にも我慢の限界が来そうな表情をしている。


「ど、どうしたの、それ?」


「あ、あぁ…これか?」


フェイトが思い切って頭の上のそれを指さしながら聞く。


シグナムの頭の上にのっている、三毛猫の柄の猫耳を指差している。


シグナムは必死に質問への答えを導き出そうとしている。


時計の秒針が時を刻むたびに、シグナムの首、額から嫌な汗が流れ出していく。


「知らないのか、テスタロッサ、最近流行ってるんだぞ?」


その答えに、はやてはまだなんとか耐えきっている。


「ほら、テスタロッサもどうだ?」


シグナムが一歩前に出てくる。


それに対してフェイトは一歩下がる。


「わ、私は…その…ほら、シグナム似合ってますし、かわいいから、そのままがいいですよ?」


「か、か…」


二人の変な掛け合いが始まる。


はやては体をくの字に曲げて床に突っ伏している。


シグナムの口から可愛いという単語までは出てこない。


今にも湯気が一気に吹き出そうなほど顔を赤くしている。


シグナムが近づいてこなくなって安心したフェイトがはやてに歩み寄っていく。


「あ、はやておみやげね」


「あ、おおきにな、フェイトちゃん」


いつの間にか立ち上がっていたはやてが、翠屋のケーキを受け取る。


様子を見ようと、フェイトがシグナムの方を振り返る。


シグナムは動く様子はない。


それにフェイトは安堵のため息をつく。


「あ、フェイトちゃん、私からもあげるものがあるんよ?」


「え、なに?」


はやての一言に、フェイトが振り返る。


「え?」


その振り向く瞬間に、はやてが隙ありとばかりにシグナムが被っているものと同じものをフェイトに被せる。


「お、こっちもなかなかやな」


「は、はやて?」


はやてが満面の笑みを浮かべてフェイトをマジマジと見て、それに対してフェイトはたじろく。


すぐに、手を違和感のもとに触れて取ろうとする。


「あ、あかんで、フェイトちゃん」


「ふぇ、なに?」


すばやく、はやてがその手をどけようとする。


そのまま、フェイトの両手首を握り締める。


「フェイトちゃん、ちょうお願いがあるんやけど?」


「な、なに、はやて?」


もう何が何やらわからなくなっているフェイトは拘束から逃げようとせず、ちゃんと話を聞いている。


「そのまま手はこうやって」


「う、うん」


フェイトの両手を首あたりの高さまでもってくる。


「にゃんって言ってくれん?」


「え、ええぇ!?」


やっと正気に戻ったフェイトが顔を赤くして恥ずかしそうにしている。


「フェイトちゃん、一生のお願いやから」


間近にせまって頼むはやてに、もう少しでフェイトは落ちそうだ。


「う、うぅ……にゃん」


お願いと言われてしかたなくフェイトは小さな声でそう言った。


「フェ、フェイトちゃん…もう1回ええか?」


口を半開きにしながら、はやてが人差し指をたてる。


「はやて、恥ずかしいよ……ん?」


フェイトがもう勘弁してほしいと言葉と表情で訴えかけていたが、そのフェイトがはやての後ろに近づく人影に気づいた。


「ニ、ニャー!!」


ネジが何本も外れて壊れたシグナムが二人に飛び掛ってきた。


二人のように見えたが、正確にはフェイトの方だった。


「ちょっと、シグナム?!」


「こ、これは…」


思っても見なかった光景に、はやては驚きの表情を隠せない。


そのままシグナムはフェイトを押し倒した。








つづくのか?


どうすんだこれ…

魔法少女リリカルなのは すずか×アリサ 「お泊り」


「ねぇ、アリサちゃん」


「なに、すずか?」


コントローラーを握りながらこたえる。


アリサは画面の方を向いていて、隣のすずかの方は向かない。


「ねぇってば」


「聞いてるわよ、すずか」


少しむっとしたすずかがもう一度話しかける。


「そろそろ終わりにしよう」


「もうちょっとだから待って」


今日はアリサの家にすずかが泊まりにきている。


寝る前、アリサがどうしても進めたいと言ってゲームをしている。


いまどき珍しく、セーブに制限がかけられているゲームだ。


すずかからため息が出るが気づいていない。


「アリサちゃん」


「す、すずか!?」


とっさにアリサはゲームを止めるボタンを押す。


すずかが甘えるような声を出しながら、アリサの膝に頭をのせてくる。


「アリサちゃん、早く終わらせて一緒に寝よう」


「す、すずか、これじゃ進められないでしょ!」


「私は気にしないで進めて」


にっこりと笑いながら、すずかが言う。


「し、しかたないわね」


もちろん、アリサがゲームを進めることはない。


すぐにコントローラを置いて、立ち上がる。


それを予想していたすずかが一旦起き上がる。


本体の電源を切ったアリサが戻ってくる。


「それじゃぁ、寝ましょう、すずか」


「うん」


そのアリサの言葉にすずかは満面の笑みを浮かべている。


アリサがすずかの手を掴んで、ベッドに向かう。


今日も一緒のベッドで寝る。


「ねぇ、アリサちゃん」


電気を消して暗くなってから、すずかが話しかける。


話しかけながら、アリサの手を探す。


暗い中、目がまだ慣れていないにも関わらず、すずかはすぐに掴むことができた。


「な、なに、すずか?」


その手の感触に反応しながらアリサが問い返す。


アリサの声と同時にすずかが、その手を強く握ってくる。


「いつもみたいにしてくれる?」


「い、いいわよ、すずか」


顔を赤くしながら、アリサがすずかを抱き寄せる。


「あったかいね、アリサちゃん」


アリサはそのすずかのその一言に言葉を返さない。


「アリサちゃん、大好き」


かわりにすずかの体を強く抱きしめながら目をつむった。


すずかも幸せそうな顔をしながら眠りについた。


リリカルなのはStrikers ヴィヴィオ×はやて 「猫さん」



はやてとヴィヴィオが風呂から出てくる。


「ヴィヴィオ、じっとしててな」


「うん」


「これでええかな」


濡れていたヴィヴィオの髪を拭き終える。


「ありがとう、はやてお姉ちゃん」


二人は散歩の帰りに土砂降りの雨に遭い、急ぎ足で帰った。


「お姉ちゃんの髪、拭いてあげる」


はやてがしゃがんでヴィヴィオに髪を拭いてもらっている。


「いつも拭いてもらってるん?」


「うん、いつもなのはママに髪拭いてもらってるの」


「あ、そういえば服用意せんと」


はやてが乾かしている服を見てはっと気づく。


二人とも服はびしょ濡れで、乾くのには時間がかかりそうだ。


「ヴィヴィオ、服なんやけど、乾くまでうちにあるパジャマ着るんでええか?」


「うん」


ヴィヴィオがすぐにうなずく。


「はい、はやてお姉ちゃん」


「お、おおきになヴィヴィオ」


拭き終え、はやてが立ち上がり着替え始める。


「これでええか」


「うん」


ヴィヴィオにとっては少し大きいサイズのものだ。


誰がこの家の住人で着られるかはサイズからわかる。


しかし、皺が全く無く着られた様子はない。


「あ、猫さん」


「可愛いやろ、そのパジャマ」


「うん」


猫の柄のものではなく、被り物で、猫の耳と尻尾がついているものだ。


はやてが買ってきて、ヴィータに着せようとしたものだ。


「お、似合っとるで、ヴィヴィオ」


「えへへ」


「なぁ、ヴィヴィオ、ちょっとお姉ちゃんのお願い聞いてもらってもええか?」


「うん、いいよ」


手を合わせながら言うはやてに、ヴィヴィオが笑顔で答える。


「にゃんっていってくれへん?」


「にゃん?」


間髪置かず、ヴィヴィオがはやてに言われた通りの言葉を口にする。


「ヴィ、ヴィヴィオ…」


「どうしたの、お姉ちゃん?」


ぷるぷると震え出すはやてを不思議そうに見つめる。


「も、もう1回」


「にゃ、にゃん…」


少し戸惑いながらもヴィヴィオはちゃんと言われた通りにする。


「ヴィヴィオ、今日うちに泊まってかへんか?」


これでもはやては抑えてる方だ。


下手をするとうちの娘にならないかとまで言いそうだ。


「え、えっと」


突然のことにどうしたらいいかわからず、ヴィヴィオは戸惑うばかりだ。


「あぁ、ちゃんとママたちには言っておくから大丈夫やで」


「う、うん」


もうすでに泊まっていくことが前提にすり替わってる。


「それじゃぁちょっと待っててな、ヴィヴィオ」


そそくさとリビングに行って連絡を取り始める。


「あ、なのはちゃんは仕事中やったか」


そう言って端末からフェイトを呼び出す。


ヴィヴィオも横からその様子を覗き込む。


「あ、フェイトちゃん、あれ、なんで私服なん?」


「はやて、どうしたの?あ、今日は仕事が終わったからそっちに行くところなんだ」


「お、ちょうどええな、フェイトちゃんもうちに泊まってかへん?」


「私もって、ヴィヴィオ、今日は泊まってくの?」


フェイトもずいぶんと察しが早い。


「私はいいよ、悪いし、ちょっと寄ってくだけだから」


「そうかぁ、残念や」


「それじゃぁ、そっちにも寄るから」


「ママ、待ってるね」


「うん、それじゃぁ」


愛娘に手を振りながら通信は途切れた。


はやてが挨拶を言う暇もなく、勝手に二人の会話に切り替わって終わった。


ガチャッ


「えっ?」


タイミングよく、玄関のドアが開く。


「ただいま戻りました」


「シグナムやったか、おかえりシグナム」


「どうしたんですか、主?」


驚いているはやてに買い物袋を持ったシグナムが話しかける。


「あぁ、なんでもあらへんよ」


「はぁ…久しぶりだなヴィヴィオ」


「こんにちは、シグナムお姉ちゃん」


ヴィヴィオが挨拶を返す。


「どうした、眠いのか?」


「う、うん…」


はやての手をつかみながら、もう片方の手で目をこすっている。


「ほな、一緒に寝よか」


「うん あ、シグナムお姉ちゃんも一緒に寝よう」


「あぁ、いいぞ」


買い物袋の中身を片付け終えたシグナムが戻ってくる。


「あ、そうや、シグナムもどうや?」


「どう、と言いますと?」


「おそろいっちゅうことで」


言うと同時に、持っていたものを頭につける。


「お、ええ感じやな」


「主、何を?」


すぐにシグナムは近くの鏡に向かう。


「あ、取ったらあかんよ」


顔を赤くしながら手で頭についてるものを取ろうとするシグナムに釘をさす。


「それでな、ちょっとお願いがあるんやけど」


「な、なんでしょう」


シグナムは振り返らずに言葉を返す。


「にゃんて言ってくれへん?」


「……にゃ、にゃん」


拒否権がないことをわかっているシグナムは、一呼吸おいてそう言った。


「ええな、シグナム、今日はもう満足や」


そう言って、シグナムの手を引っ張って寝ようとしているヴィヴィオのもとに歩いていく。


「あ、お姉ちゃんも猫さんだ」


「あ、あぁ」


ヴィヴィオが嬉しそうにしているのに対して、シグナムは顔をそらしながら隣に座った。


ヴィヴィオはすぐに寝て、シグナムはずっと恥ずかしそうにしている。


その後、シグナムはその姿をフェイトに見られてしまう。


はやては終始にやにやしていた。

リリカルなのはStrikers はやて×フェイト 「チャンス?」




ミッドチルダ地上本部のある廊下。


「お、フェーイトちゃんっ」


「えっ?」


友人を見つけたはやてが駆け寄ってくる。


「はやてっ」


「久しぶりやな、フェイトちゃん」


「久しぶり、はやて。もう1ヶ月ぶりくらいじゃない?」


フェイトは長期の任務から帰ってきたばかり、はやては休暇から戻ってきたところだ。


「今日はフェイトちゃんのお嫁さんはいないみたいやなぁ」


「はやてったら、何言ってるの?なのはは、その…」


そこでフェイトが言葉を止める。


「誰もなのはちゃんなんて言ってないで」


「もう、はやてっ」


少し怒ったような表情をする。


「なのはは、私にとっては大事な人だけど…その…」


「ほう、大事な人と…」


はやてがフェイトに寄ってくる。


「もう、はやてなんて知らないっ」


「あぁ、フェイトちゃんっ」


早足でフェイトがはやてから離れていく。


それにはやてが追いつこうとする。


しかし、なかなか距離が縮められない。


「あ、なのはちゃんっ」


「えっ!?」


後ろから聞こえてくる声に一瞬でフェイトが反応する。


ばっと振り返るがそこにはなのはの姿はない。


かわりに、間近にせまるはやての顔があった。


「つかまえたで、フェイトちゃんっ」


「は、はやて?」


はやてに騙されたことに対する怒りの感情ではなく、すぐ近くにせまっていることに恥ずかしさを覚えて顔を赤くする。


はやての両手がフェイトの肩をがっちりと掴んでいる。


振り払おうとすればできるがフェイトはそうしようとしない。


目の前のはやてのことに意識が集中している。


「フェイトちゃん、ちょっと聞きたいことがあるんやけど」


「なに…はやて?」


それまでにやついていた、はやての表情が突然真剣なものになる。


真正面からじっと見つめてくる。


なかなかはやては質問を口にしようとしない。


フェイトが唾を飲み込んだ瞬間だった。


「フェイトちゃんって、なのはちゃんと付き合ってるん?」


「えっ!?」


予想外でもないが、フェイトが動揺するには十分なインパクトのある質問だった。


「えっと、その…」


フェイトはちゃんと質問に答えようとするが、なかなか声が出てこない。


「ふふーん、そうなんやな」


答えを聞かずに、はやてが勝手に納得する。


再びいつもの表情に戻りかける。


「ほんなら、うちにもチャンスがあるっちゅうことやな…」


フェイトにしか聞こえてないほどの小さな声だった。


「えっ?」


聞いた本人の思考が一瞬止まる。


その隙をついて、はやてがフェイトに抱きつくような形で顔と体を近づけていく。


「ふっ」


「ひゃっ!」


はやてが首筋に息をふきかけ、フェイトが敏感に反応する。


「ここが弱点なんやな…」


「は、はやて…」


それに満足したはやてが一旦顔を離す。


フェイトはじっと固まったまま動けない。


再び、二人は正面から見つめ合う形になる。


自然と、慣れたような動きではやては顔を近づけていく。


一方のフェイトは目を開けて固まったまま動けないでいる。


『はやてちゃーん』


「ん!?」


タイミングよく、声とコールが割り込んでくる。


「なんや、リィン?」


複雑な表情をしながらはやてが出る。


どうやら仕事の話のようだ。


「あの、はやて…」


話が終わったタイミングでフェイトが話しかけようとする。


「ごめん、フェイトちゃん、また後でな」


「う、うん…」


相変わらず顔を赤くしたままフェイトはしばらくの間そこに立っていた。



リリカルなのはStrikers ヴィヴィオ・なのは・フェイト 「母子プレイ」5





「ただいまー」


ヴィヴィオが朝の練習から帰ってきたようだ。


週に2回はノーヴェと一緒に朝の練習をこなしている。


「あれ、ママ?」


今日は二人が家にいる日。


二人の靴もちゃんと玄関にある。


しかし、奥の方から「おかえり」の声が聞こえてこない。


少し前に出た時には二人ともちゃんと起きていた。


「ん?」


首をかしげながら、ヴィヴィオが靴をぬいで上がる。


今までこんなことは一度もなかった。


「ママー?」


上の階に呼びかけてみる。


しかし、まったく反応はない。


2階の方に人がいる気配すらない。


何がなにやらさっぱりといった表情をしながらヴィヴィオがリビングに入る。


「えっ!?」


ヴィヴィオの視界に小さな女の子が二人入ってくる。


二人とも、昔の写真からさらに小さくなって、昔のヴィヴィオのようになっている。


フェイトがソファに座りながら眠っている。


そして、なのはがフェイトに体を傾け、二人は寄り添うようにしている。


「んぅ…、あ、ママ」


先に目を覚ましたのはフェイトだった。


目をこすりながらソファから起き上がる。


少し遅れてなのはも目を覚ます。


フェイトがとてとてと近づいてくる。


なのははまだ眠り眼でぼうっとしている。


ヴィヴィオはその光景に完全に固まって動けない。


フェイトはそんなことはお構いなしに歩み寄ってくる。


「ママ」


フェイトがヴィヴィオの服を小さい手でにぎりながら呼ぶ。


まだヴィヴィオは反応できない。


「どうしたの、ママ?」


「な、な、なんでもないよ、フェイトちゃん」


やっと返事ができる状態に戻ったようだ。


ちゃんと、「ちゃん」づけに変わっている。


「ママー」


なのはもやっと目が覚めたようだ。


「抱っこして」


「え、う、うん…」


ヴィヴィオがなのはの小さな体を軽く抱き上げる。


「んー」


手を後ろにまわして肌が触れ合ってすぐ、なのはは目を閉じて寝ようとする。


「なのはちゃん、寝ちゃだめだよ」


その声と息遣いですぐにわかったヴィヴィオが注意する。


「んぅ」


少し不満そうな顔をしながら目を開けるが、おろしてとは言わない。


横にいたフェイトが上目遣いで目をうるませながら、服を引っ張る。


「あ、ごめんね、フェイトちゃん」


そう言ってなのはをおろし、フェイトも抱き上げる。


「ママ、大好き」


なのはの時と同じくらいの間、フェイトをぎゅっと抱きしめる。


「ねぇ、ママ」


「なに、なのはちゃん」


ヴィヴィオの表情も、すっかり母親の笑顔になっていた。


「外に出かけたいの」


フェイトをおろしながら、娘の声に耳を傾ける。


「うん、じゃぁどこに行こうか?」


学校があることは気にしていないようだ。


「うーんとね」


降りたフェイトがなのはの隣に立って手を握っている。


まるで仲の良い姉妹のようだ。


「ねぇ、ママー」


ヴィヴィオママの楽しくもつらい日々が始まった。



リリカルなのはStrikers ヴィヴィオ×はやて 「おやつ」



「お、ヴィヴィオはプリンか」


「うん、プリン大好きっ」


散歩から帰ってきた二人は今、冷蔵庫の前にたっている。


冷蔵庫に入っているおやつを選んでいる。


「それじゃぁ私は…」


はやてが選らんだのはイチゴ味のヨーグルト。


その裏に名前が書いてあったのはご愛嬌だ。


もちろん、それははやてのものではない。


「はやてお姉ちゃんはヨーグルト?」


「そうや、この苺のとろっとした食感がええんよ」


スプーンを出しながら、はやてがその味を語る。


「あ、先にいっててええよ」


「うんっ」


そこでじっと待っていたヴィヴィオがリビングの方へぺたぺたと歩いていく。


「ヴィヴィオ」


「ありがとう、お姉ちゃん」


ヴィヴィオが好きなキャラメルミルクティーの入ったコップを持ってはやてがきた。


はやてもしっかりしている。


一口だけ食べたプリンは置いて、 ヴィヴィオはそっちに心を奪われている。


「んっ、これもなかなかええなぁ」


ソファの上、ヴィヴィオの隣に座ってはやてがコップの中身を喉に通す。


「おいしいね、はやてお姉ちゃん」


一口だけ、コップの中身を飲んだヴィヴィオがそう言いながらはやての膝の上に乗っかってくる。


「おっ、 ヴィヴィオは甘えん坊さんやな」


「えへへ」


「いつもこうなんか?」


「うんっ」


プリンをスプーンですくいながら、 ヴィヴィオが答える。


はやてがテーブルの上に置いてあったヨーグルトを持ち上げる。


「あれ?」


「ん、なんや、 ヴィヴィオ」


ヴィヴィオが何かに気づいたようだ。


「それ、なに?」


はやてが持っているそれの横に、黒い大きな文字が一つだけかかれている。


「ん、気にせんでええよ」


「ふーん」


ヴィヴィオはあまり気にしていないようだ。


はやてがにやにやしながらスプーンを動かす。


食べられて怒る、その相手を想像しているのだろう。


「あ、お姉ちゃん、ついてるよ」


「ん、ほんまか?」


その声と同時にはやてが下を向き、ヴィヴィオが顔を近づける。


ペロッ


手ではなく、小さな舌先ではやての唇の端を舐める。


「お、おおきにな」


「うん、ヨーグルトおいしいね」


「そ、そうやろ」


はやてはなんとか胸の動悸をおさえている。


それでも表情は落ちついている時のものではない。


ヴィヴィオが下からじっと見てくる。


その視線を感じ取ったはやてがヨーグルトをスプーンですくいあげる。


「ヴィヴィオ、あーんっ」


「あーん」


嬉しそうにヴィヴィオがヨーグルトを味わう。


「お姉ちゃんも、あーんっ」


「あ、あーんっ」


その声につられて、はやてが口をあけて目を閉じる。


「ん、んん!?」


金属の感触ではなく、人肌の柔らかい感触がしたことにはやては驚きを隠せず目を開ける。


ヴィヴィオはスプーンを使わず、口移しでプリンをはやての口の中に入れてきた。


「こ、こっちもええなぁ」


「うんっ」


二人が考えていることは若干ずれている。


ヴィヴィオは味のことを、はやては味とその方法のことを考えている。


「ママはいつもこうしてくれてるんか?」


「うん、ママたちもこうしてるよ」


そのヴィヴィオの発言にはやてが小さなため息をつく。


「ごちそうさんやな」


「はやてちゃん、もう食べないの?」


「あぁ、違うんよ・・・こっちの話やで」

リリカルなのはStrikers ヴィヴィオ×はやて 「お散歩」



「待って、はやてちゃんっ」


ここはミッドチルダ、ではなく地球の八神家。


玄関先で靴をはきながらすでにドノブに手をかけている。


はやての家に泊まりたいと二人の母にせがんだヴィヴィオ。


なのはは特に何も言わなかったが、フェイトは自分のもとから少しでも離れるのが心配だからかなかなかうんとは言わなかった。


「ほな、行こか」


「うん」


家の中にいても退屈ということで二人で散歩に出ることにした。


いつもは賑やかな八神家だが、今日はちょうど皆仕事やら買い物やら用事やらで出かけてしまっている。


「お、お日様のおかげでちょう暖かくなっとるな」


「うんっ」


外に出てすぐに暖かい日差しを浴びる。


とは言え、寒さも少し残っている。


「近くに公園があるんやけど、そこでええか」


二人の母が育ったところを見て回りたいとよくヴィヴィオは言っていた。


「うんっ」


元気よくヴィヴィオがうなずく。


「あ、ちゃんと手つなごうな」


そう言って、はやてが片手を伸ばす。


それを小さな両手がつかむ。


「えへへっ」


ヴィヴィオはいつもママたちに見せるような嬉しそうな顔をする。


それにはやての顔もほころぶ。


ヴィヴィオの歩く早さにあわせてゆっくりと散歩を楽しむ。


途中、見たことがないものを見るたびにはやてに聞いたりしていた。


「んっ?」


ちょうど近くの大きな公園にさしかかったころだった。


それまでほとんど吹いてなかった風が二人に吹き付けてくる。


寒さを敏感に感じ取ったヴィヴィオが身震いをする。


黒い雲が遠くの方から近づいてくるのがはやての視界に入ってくる。


「ねぇ、はやてちゃん」


「なんや、ヴィヴィオ?」


「抱っこして」


「あ、あぁ、ええよ」


突然のことに、はやても少し驚いている。


「よしっと」


いつもフェイトがよくしているように、ヴィヴィオの小さい体を持ち上げる。


見よう見真似ではあるが、うまくいったようだ。


「暖かくてええな」


「うんっ」


嬉しそうな顔をしながら、ヴィヴィオが首の後ろに手をまわしてくる。


そのまま頬を寄せ合いながら、公園を歩いていく。


ヴィヴィオはとても嬉しそうな笑顔をしている。


まだ雲は遠く、雨は降ってきそうにない。


まわりを見ていたヴィヴィオがはやての方を向く。


「はやてお姉ちゃん、大好きっ」


「お、お姉ちゃんっ?!」


突然呼び方が変わったことに驚いているが、それ以上に「お姉ちゃん」と呼ばれたことが嬉しいからか顔を赤くしている。


「お、お姉ちゃんかぁ」


はやては「お姉ちゃん」という響きに表情を緩ませて幸せそうな顔をしている。


「どうしたの、はやてお姉ちゃん?」


「え、あ、な、なんでもないでっ」


慌てながらもなんとか体面を保とうとする。


ヴィヴィオはあまり気にしていないようで、また頬を寄せてくる。


同じようなやりとりを何度か繰り返した後、ヴィヴィオはそのまま寝てしまった。

リリカルなのはStrikers なのは×フェイト 「母子プレイ」4


「ふぁ、あれ…?」


大きなベッドの中でなのはが目を覚ます。


もう時計の針はかなりの時間を指している。


「あ、今日は休みだっけ…」


少し考えてから、いつもの早い時間に起きれなかった理由を口に出す。


目覚ましは休みのものになっていた。


「ヴィヴィオは…練習か…」


眠そうな目と声で思い出したことを口に出して確認していく。


そうしていると、寝室のドアが音をたてて開けられた。


「もう、なのははお寝坊さんなんだからっ」


その声が聞こえてくる方に目を向ける。


「えっ?」


そこに立っていたのは、いつも通りの背の高いフェイトだった。


「あれ?」


「どうしたの、なのは」


驚いているなのはに対して、フェイトはいつも通りにしている。


「フェ、フェイトちゃんっ」


フェイトに軽く体を持ち上げられる。


「フェイトママでしょ、なのは?」


「え?」


その一言に、なのはがやっと自分の置かれた状況に気づいた。


パジャマはぶかぶかで、手が出ていない。


なのはの体が小さくなっていて、フェイトの体がいつも通りになっている。


「フェイト…ママ……」


「なに、なのは?」


なのはもすぐに合わせる。


「な、なんでもないの…」


無意識にやっているのか、フェイトがなのはの体を少しだけ自分の近くに近づける。


顔が間近にせまって、恥ずかしいのかなのはが顔をそらす。


「おはようのキス…」


「あ、うん…」


チュッと軽く、目を閉じたフェイトが唇をつける。


「フェイトママ、おはよう」


「おはよう、なのは」


にっこりとフェイトが微笑みかける。


「ごはん、食べようか」


「うん…」


お姫様だっこのまま、リビングに連れて行かれる。


いつも通りの朝食が並んでいた。


「フェイトママ」


「なに、なのは?」


いつもの椅子に座ったが、すぐになのはがフェイトの方を向く。


「もうちょっと寝たいの…」


「だーめっ」


フェイトはすぐに応えた。


普段は甘いフェイトだが、今日は少し違うようだ。


「いっしょに寝よう、ね、フェイトママ」


「え、あ…う…」


なのはのその一言でいつものフェイトが戻ってくる。


じっとなのはがフェイトのことを見つめている。


「ねぇ、フェイトママ」


フェイトの袖をぎゅっと握って顔を近づけてくる。


「もう仕方ないんだから…」


また前と同じようになのはを抱き上げる。


「あれ、フェイトママ?」


しかし、フェイトが向かったのは寝室の方ではなかった。


「こっちでいいでしょ?」


すぐ近く、大きなソファに連れて行く。


「えぇ、ベッドがいいの…」


「こっちでいいでしょ、なのは」


ソファに座ると同時にフェイトがなのはが動けないようにぎゅっと抱きしめる。


「う、うん…」


フェイトに抱きしめられながら、なのはは眠りについた。



リリカルなのはStrikers なのは×フェイト 「母子プレイ」3


「おまたせ…フェイトちゃんっ」


聞こえるか聞こえないかわからないくらいの小さな声でなのはが言う。


距離にして3メートルほど。


「あっ…」


ソファで横になっていたフェイトが気づく。


「あ、ごめん、起こしちゃった?」


「なのはママ…」


眠そうな目をこすりながらフェイトが起き上がる。


「もう寝ようっか、フェイトちゃん」


髪を拭きながらなのはが歩いてくる。


「んー…」


フェイトは何か言いたげな表情をしてうつむいている。


「どうしたの、フェイトちゃん?」


しゃがんで、フェイトの顔を正面から見つめる。


「ママ、今日は…その…」


余計に言いにくくなったのか、言葉が途切れる。


「ん?今日は…?」


「今日は…、その…ママと二人で寝たいの…」


「え?」


一応なのはの耳には届いているはずだ。


「もう一度言って、フェイトちゃんっ」


なのはが聞こえなかったかのように振舞う。


一方のフェイトは俯いているからか、そのことがわからない。


「えっと…」


もう1回と言われて、フェイトはまた言いにくそうにしている。


一方のなのははいつもの笑顔をフェイトに向けている。


おおよそ30秒ほどたった。


「ママと二人で寝たいの…」


フェイトがやっと声を出すことができた。


「んー…、どうしようかなぁ」


両手をぎゅっと握り締めて、フェイトが懇願している。


なのはは人差し指を唇にあててどうしようか考えている。


「ママ、だめ…?」


「だーめっ」


その解答にフェイトは今にも泣きそうな顔になる。


答えは最初から決まっていたようだ。


「ベッドも1つしかないんだし、まさかソファで寝るとか考えてた?」


「で、でも…」


「でもじゃありません、わがまま言う子はおしおきだよっ」


「ご、ごめんなさいっ」


おしおきという単語に反応して、フェイトがふるふると震えながら目をつむっている。


「冗談だよ、フェイトちゃん」


「えっ…」


なのはがにっこりと笑いながら姿勢を低くする。


一瞬、フェイトがどっちなのかわからず戸惑ったような表情をする。


しかし、すぐにフェイトもわかって笑顔になる。


「それじゃぁ行こっか」


「うん、ママ」


今日はお姫様だっこではなく、手をつないで寝室まで歩いていった。

リリカルなのはStrikers なのは×フェイト 「母子プレイ」2



「フェーイトちゃんっ」


「なに、なのはママ?」


白いエプロンに、ピンクのパジャマを着たフェイトが振り返る。


なのはは、つい先ほど食事を終えたばかりだ。


一所懸命に食器を洗っているフェイトに歩み寄ってくる。


「手伝ってあげる、フェイトちゃん」


「え、いいよ、ママ」


小さくなってもフェイトは遠慮しがちな部分は変わっていない。


「いいでしょ、フェイトちゃん」


すでになのはは皿に手をかけて持ち上げていた。


「二人でならすぐに終わるでしょ」


まだ皿の他に大きな鍋がふたつ残っている。


「どうしたの、フェイトちゃん?」


一度前に向き直ったフェイトが再び振り返る。


「これじゃやりにくいよ…」


「えっ、そう?」


なのははフェイトのすぐ後ろに立って、皿を洗い始めている。


「別にいいでしょ?」


「んー」


フェイトは何か言いたげな顔をしながらむくれている。


「もう、なのはママったら」


「にゃははっ」


フェイトが何が言いたいかはわかっていても、なのははそのままでいる。


「もう、なのはママなんてきらいっ」


「フェイトちゃんっ、可愛いっ」


ほんの数秒を置いて、なのはが両手でフェイトを抱き上げ頬ずりをする。


「あ、危ないよ、ママ」


当然、なのははフェイトが何も持っていないことをわかっていたので危ないわけがない。


「あとはなのはママがやるから、フェイトちゃんはあっちで休んでてね?」


「ママったら」


頬を赤らめてむくれながらも、身動きが取れないフェイトはソファのところまで連れて行かれて座らされた。


フェイトはおとなしくちょこんと座って待っている。


「お待たせ、フェイトちゃんっ」


「う、うん…」


ウトウトしていたからか、少し反応が遅れる。


「フェイトちゃん、もう寝る?」


「う、うん…」


目をこすりながらなのはの問いに答える。


「急いでシャワー浴びてくるから、待っててね」


「うん、待ってるね、ママ」


安心した表情でなのはが背を向ける。


「待って、ママ」


「えっ?」


なのはが歩き始めたと同時に、フェイトが手をつかんだ。


フェイトは何も言わない。


なのはもすぐにどうしていいか気づく。


「はい、フェイトちゃんっ」


軽く頬にキスをする。


「ママ、大好き…」


フェイトは頬に手をあてながら、短い眠りについた。





つづく

リリカルなのはStrikers なのは×フェイト 「母子プレイ」1


「おかえり、なのはママ」


「た、ただいま…」


いつも通りに帰宅したなのはは、次の一言を出せずにいた。


出迎えるのは愛娘のヴィヴィオか、愛妻のフェイトのどちらか。


今日はフェイトがドアの先で待っていた。


だが、そのフェイトの外見が明らかにおかしい。


「どうしたの、なのはママ?」


さらに、呼び方もいつもは言わない「なのはママ」になっている。


「どうしたの、フェイトちゃん?」


「え、何、なのはママ?どこかおかしい?」


フェイトはわざとなのか、天然なのか、首をかしげる。


明らかに9歳よりも下の年齢、姿格好が7歳くらいのフェイトがエプロンを着てなのはのことを「ママ」と呼んでいる。


「ううん、なんでもないよ、フェイトちゃんっ」


勝手に空気を読んだなのはが靴を脱いで上がる。


「あ、ママ、おかえりの…」


小さいフェイトが顔を赤くしながら言う。


いつもの習慣だ。


「あ、ごめん…、ただいまフェイトちゃん」


「おかえり、なのはママ」


チュッ


なのはが低い姿勢になって軽くキスをする。


「ごはんできてるよ、ママ」


「そんなに引っ張らないでよ、フェイトちゃんっ」


いつになく嬉しそうな顔でなのはを引っ張っていく。


時間が遅いからか、ヴィヴィオはすでに寝室で寝付いていた。


なのはが二人目の娘?に引っ張られてテーブルにつく。


「待っててね、ママ、すぐに作るから」


キッチンの方からはフェイトの頭しか見えない。


一所懸命に料理を温めたり、皿に盛ったりしている姿が健気で可愛らしい。


「フェイトちゃん、手伝うよ」


いてもたってもいられなくなったなのはが椅子から立ち上がる。


「あ、ありがとう、ママ」


「どういたしまして」


二人で進めたからか、あっと言う間にテーブルに料理が並んだ。


フェイトはすでにヴィヴィオと食べていたからか、なのはの分だけだ。


「ねぇ、フェイトちゃん…」


料理を食べ始める前になのはがタイミングを見計らって疑問を口にしようとする。


「なのはママ、あーんっ」


しかし、すぐにフェイトに遮られる。


「あっ、あーん」


ついついつられて、なのはものってしまう。


「おいしい、ママ?頑張って作ったんだよ?」


「うん、おいしいよ、フェイトちゃんっ」


「本当、よかった、ママが喜んでくれて…それじゃぁ、あーんっ」


「はい、あーん」


なのはは、幸せな気持ちになっていてフェイトに対して疑問を投げかけようとしない。


「あ、スープあついよ」


一所懸命、スプーンを持って息をふーふーと吹きかける。


結局なのはは自分の手を動かすことなく、フェイトに食事を全て運んでもらって夕飯を済ませた。





つづく

リリカルなのはStrikers なのは×フェイト 「思い出」





「疲れちゃった、なのは?」


「うん…」


今日はフェイトが家で待っている日。


「お疲れ様、なのは」


大きなため息をついて、ソファになのはが座っている。


寄り添うようにフェイトが隣に座る。


「ヴィヴィオは?」


「もう寝ちゃったよ」


その一言になのはがほっと一息つく。


「ちょっと待ってて…」


フェイトがソファから立ち上がる。


食事を用意しにいこうとする。


「ねぇ、フェイトちゃん」


「なに、なのは」


甘えるような声でなのはがフェイトを呼ぶ。


「起こして、フェイトちゃん」


なのはは、ソファに横たわっている。


「はい、なのは」


フェイトが手を伸ばしてくる。


しかし、なのははその手を掴もうとしない。


フェイトが首をかしげる。


「フェイトちゃん~」


察しが悪いフェイトに、なのはが口を尖らせる。


「あ、ごめん」


フェイトがやっと気づいて、してほしい行動に移る。


「ありがとう、フェイトちゃんっ」


ひょいっと軽くお姫様抱っこでなのはを抱き上げる。


嬉しそうな表情のまま、顔を近づけていってフェイトの頬にキスをする。


いつものにこにことした笑顔をフェイトに向ける。


「どうしたの、なのは?」


「ううん、ちょっと思い出しただけ…」


「思い出した?」


「あの時はフェイトちゃんを抱っこしてたなぁって、ね」


「あ、う、うんそうだね…」


普段は落ち着き払っているフェイトが顔を赤くする。


「そういえば、最近なのはにしてもらってなかった気が…」


今度はフェイトが反撃する番だ。


「それじゃぁ明日はフェイトちゃんが抱っこされる番だね」


「う、うん…お願いね、なのは…」


嬉しそうにしながらフェイトはまた顔を赤くする。


「フェイトちゃん、可愛い…」


「な、なのは…」


再び頬に口付けをされる。


「お返しっ」


今度はフェイトからキスをし返す。


「にゃはは、くすぐったいよフェイトちゃんっ」


「なのは…」


「フェイトちゃん…」


二人はじっと見つめあう。


「大好き、なのは」


「先に言われちゃった…、私もだよフェイトちゃん」


二人ほぼ同時に顔を近づけていき軽く唇を重ねる。


「フェイトちゃん、もうちょっとこのままでいさせて」


「うん、いいよ…なのは」


フェイトがなのはの髪にキスをする。


「フェイトちゃんっ…お返しっ…」


なのはもフェイトの長い髪をついばむようにキスをする。


「なのは…」


「フェイトちゃん…」


そのまま10回近く二人はお互いの名前を呼び合っていた。


温めなおしておいてあった夕飯はいつの間にか冷めていた。


二人がそれに気づくのはかなり時間がかかった。

リリカルなのはStrikers フェイト×ヴィヴィオ 「胸」



「フェイトママ~」


「ん?なに、ヴィヴィオ?」


タオル一枚だけの格好でフェイトが出てくる。


ヴィヴィオは何かを頼もうとする顔をしている。


この表情にはなのはも、フェイトもかなわない。


膝を折りながら、フェイトが目線を同じ高さに合わせる。


「あのね、お願いがあるの」


一呼吸置いて、お願いをしようとする。


「ん、なに?ヴィヴィオ」


いつものように髪を撫でながら、フェイトが笑顔を向けてくる。


「あのね、お…」


「お?」


「フェイトママ、おっぱい…」


「ん…お?」


フェイトは笑顔のままだ。


その笑顔は引きつったりはしていない。


何を言われたのかは一応聞こえているはずだ。


表情はそのままに必死に頭を働かせてヴィヴィオが何を言いたいのかを考える。


しかし、さっきの言葉からはそれ以上のことはわからない。


「ねぇ、ヴィヴィオもう1回いいかな?」


「おっぱい…」


ヴィヴィオはそう言ってフェイトを見つめながら、近づいてくる。


「ヴィヴィオ、あのね…」


みるみるうちにフェイトの表情が崩れていく。


「あのね、私は…その……」


言うべきことははっきりとしているが、フェイトは口に出せないでいる。


フェイトは子供を産んでいるわけではない。


何か言おうと口をぱくぱくさせているうちにヴィヴィオがタオルに手をかける。


それに対してフェイトは止めようとしない、というよりはできないようだ。


どこまでも、子供に甘いフェイトである。


フェイトの素肌を隠していたタオルが、ヴィヴィオの小さな手でどけられる。


白い肌と、大きく豊かな乳房が露になる。


「あっ……」


それに対して、フェイトは艶っぽい声を出す。


一瞬、フェイトの時間が止まったようだ。


ヴィヴィオの方をじっと見つめている。


いつもの、育ての母親の時の優しげな顔とはまったく違う表情が垣間見える。


本当の娘を見つめるような、とろんとした目をしている。


「んむっ」


むしゃぶりつくように、目の前の胸にヴィヴィオが乳首を口にする。


「んっ…」


一瞬の刺激にフェイトが肩を少しだけ上下させて反応する。


普段、なのはからされている時と同じ反応だ。


チュウと音をたてながら、ヴィヴィオがフェイトの乳房を吸っていく。


もちろん、フェイトの胸から母乳が出るはずがない。


そんなことは二人にとっては関係ないようだ。


ヴィヴィオの頭をよしよしと撫でながら、フェイトは幸せそうな表情で目をつむっている。


すっかり二人の世界ができている。


ガチャッ


すぐ近くのドアの音が開く音がする。


しかし、二人の耳には入ってこない。


「何してるの、フェイトちゃん?」


愛しい人の声もフェイトの耳には入ってこないようだ。


はっきりと足音をたてながら、なのは近づいていく。


「フェイトちゃんっ!」


「ふぇっ!な、なのは?!」


肩をゆすられながら、耳元で大声を出されてやっと気づく。


フェイトがびくっと反応する。


「あ、あのね…これはね…」


何か言おうとするが、フェイトはしどろもどろになる。


「あ、なのはママ」


口を離してなのはの方を向く。


「なのはママ、お願い」


「もう、ヴィヴィオは甘えん坊さんなんだから」


そう言って、いつものようにヴィヴィオを抱き寄せる。


「えっ…?」


フェイトは目の前の光景に驚きを隠せない。


ごくごく普通になのはが母乳を与えている。


ヴィヴィオの喉の動きからちゃんと飲んでいることがわかる。


「フェイトちゃん、知らなかった?」


「えっ、な、何…?」


フェイトの頭はもうパンク寸前だ。


必死に混乱しきらないように、平静を保とうとしている。


「便利な魔法を教えてもらったんだ」


「ま、魔法…?」


フェイトの目が点になる。


「フェイトちゃんも、ほしい?」


「えっと、その…」


結局、1分ほどの逡巡の後、フェイトもヴィヴィオの隣に並んだのだった。

リリカルなのはStrikers なのは×フェイト 「名前を呼んで」


「なのは」


「なに、フェイトちゃん?」


二人の年齢はもう20を過ぎている。


「呼んでみただけ…」


二人横に並んで食事を取っている。


珍しく三人揃っての夕食だ。


もう片方のヴィヴィオは二人の会話を特に気にしている様子はない。


「どうしたの、フェイトちゃん?」


フェイトに笑顔を向けながら、フォークを動かす。


「なんだかね、昔を思い出したの」


「むかし?」


二人とも笑顔で顔を向け合う。


「はじめて名前を呼んだ時…」


「な、なにフェイトちゃん?」


しみじみと語り出すフェイトと、唐突なことに驚くなのはが対照的だ。


一方のフェイトは遠くを見るような目をしている。


「なのはっ」


もう一度なのはの方を見つめ直す。


「えっと…」


ただ名前を呼ばれるだけなのに、なのはは顔を逸らして赤くなっている。


フェイトはなのはのことをじっと見つめている。


はじめて名前を呼んだ時のように顔を赤らめて嬉しそうな顔をしている。


少しだけ間隔を置きながら、フェイトが何度も繰り返す。


「ごちそうさま」


「あ、ヴィヴィオ」


さっさと皿の上にのっているものを平らげたヴィヴィオが立ち上がる。


「ねぇ、なのは」


「なに、フェイトちゃん?」


ヴィヴィオのことはそっちのけでフェイトはなのはの方を向いている。


今度はただ名前を呼んでいるだけではない。


「なのはも名前、呼んでくれるかな?」


「え、う、うん…」


まだ顔を逸らしている。


「こっちを見て、なのは」


フェイトがなのはの両頬を持つ。


なのはの目がぱっと見開かれ、二人の目線が合う。


普段、普通に声に出しているはずがなかなか声が出ない。


見つめられながらでは声が出せないのも仕方ない。


その様子をじっとフェイトが見てくる。


なのはが口をゆっくりと声を開く。


「フェイト、ちゃん…」


「うん」


小さな声で名前を呼ぶ。


「ちゃんと呼んで…」


「フェイトちゃん」


はっきりと聞こえる声を出す。


「もう一度、いいかな」


「うん、フェイトちゃん」


見つめあいながら、お互いの名前を呼びあう。


ヴィヴィオが戻ってきてドアの音をたてるまで二人は繰り返していた。


魔法少女リリカルなのはViVid ヴィヴィオ×アイン 「練習の後」



「あ、起きた」


アインハルト・ストラトスが目を覚ました。


彼女の自宅のベッドではない。


「おはようございます」


と言ってももうすでに時間は夜の21時を回っている。


彼女に丁寧に挨拶する人はそんなに多くない。


「お、おはようございます」


すぐにその相手がわかったようだ。


戸惑いながらも、アインは言葉を返す。


今話している相手は高町ヴィヴィオ。


知り合ったのは最近。


「あの、どうして私は」


「練習中に倒れちゃって大変だったんですよ」


相変わらずの丁寧な口調でヴィヴィオは心配そうな顔をしている。


「す、すいません」


「ちょっと熱があるみたいだけど」


一瞬だけ当てた体温計の表示を見る。


「風邪薬飲んでもらったから、大丈夫かな」


「あ、ありがとうございます、なんでもしてもらってしまって…」


アインは申し訳なさそうにしている。


「入るわよ、ヴィヴィオ」


声と同時に、ヴィヴィオの母親が入ってくる。


料理が乗ったお盆を持っている。


「わぁ、ありがとう、なのはママ」


「あ、あの、ありがとうございます」


この家に来てからアインは恐縮しっぱなしである。


「それじゃぁ、お願いねヴィヴィオ」


隣の机に置いて、なのはは早々に出て行く。


「はーい、ママ」


元気よく答えながら、ヴィヴィオが卵雑煮を持ってくる。


「お口に合えばいいんですけど」


「い、いえ、そんな」


なんと答えていいかわからず、アインは言いよどむ。


「はい、あーん」


さも当然のごとく、ヴィヴィオはスプーンを向けてくる。


「あ、あの自分で食べれますから」


「遠慮しないでください」


ヴィヴィオは笑顔のまま、スプーンを持った手も下げようとしない。


「あ、あーん」





アインは遠慮がちに、口を開ける。


「お、おいしい」


「よかった」


その反応にヴィヴィオはとても嬉しそうな顔をする。


「それじゃぁ、あーん」


「あーん」


なくなるところまで二人のやりとりは繰り返されていった。


アインの頬はずっと赤くなったままだった。


「それじゃぁ…」


ヴィヴィオがすっと立ち上がる。


突然立ち上がったヴィヴィオに、アインは何だろうという顔をする。


「風邪が治るおまじない」


チュッ


アインの頬に軽くキスをする。


「ママがよくしてくれたおまじない、よく効くんですよ」


「え、あ、あの」


頬に手を添えながら、アインはヴィヴィオをじっと見つめる。


「もう1回した方がいいですか?」


「あ、は、い」


もう一度、ヴィヴィオが目を瞑って頬に口付けする。


アインが「いいえ」と言おうとしていたのは本人にしかわからない。


「それじゃぁ、おやすみなさい」


「お、おやすみなさい」


隠れるようにアインはベッドにもぐっていった。



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