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【冬コミ】 猫 【なおれい】



「に、にゃ・・・」

聞こえるか聞こえないか分からない、小さな声だ。

この声の主は猫ではない。

「なお、聞こえないわよ」

こっちの声ははっきりと聞こえる。

「に・・・」

また小さな声が聞こえるが、前よりも小さいものだ。

なおとれいかが向き合いながら座っている。

「な、お」

促すようにれいかが名前を呼ぶ。

れいかはニコニコと楽しそうな表情をしている。

「れ、れいかぁ・・・」

今度は聞こえるような声を出す。

「は、恥ずかしいよ・・・」

なおが顔を真っ赤にして懇願する。

「ほら、なお」

ここはれいかの家。

休みの日で家族は皆出かけている。

「で、でも・・・」

若干、目に涙を浮かべている。

「なお、勇気を出して」

少し強い口調でれいかが言うが、何を目的としているかは不純なように見える。

「う、うん」

少しずつ声の大きさがいつものなおに戻る。

「に、にゃー」

最初のものとは違い、れいかにも聞こえるような声だ。

なおは俯きながら顔を紅潮させている。

羞恥心に耐えながら言っているのが見て取れる。

体はプルプルと震えている。

「可愛いわ、なお」

れいかはうっとりと片手を頬に当てながら言う。

カシャッ

カメラのシャッター音が部屋に鳴り響く。

羞恥心に悶えているなおの姿が撮られた。

「もう一度お願い」

「う、うん・・・」

なおの顔の向きが更に下を向く。

「にゃ・・にゃー」

「もっと大きくお願い」

今度はシャッター音が聞こえてこない。

れいかは録画の方のボタンを押していたようだ。

「にゃー」

カメラのマイクにその声がおさまる。

シャッター音が聞こえてこないことを疑問に思ったのか、なおが顔をあげる。

「可愛かったわよ、なお」

その目の前にはいつの間にかれいかがいた。

カメラを横においてなおの頭を撫でてくる。

その心地よさに、今までの顔の赤みが少し元に戻る。

なおは嬉しそうな表情をれいかに向けている。

「ねぇ、なお」

れいかが撫でていた手を止める。

「な、なに、れいか?」

何かを頼もうとしているのを感じ取ったのか、なおが警戒して少しだけ離れる。

一方のれいかはあまりその行動を気にしていない。

「甘えて、なお」

そう言って手を広げる。

その様子を見て、再びなおの顔の赤みが増していく。

「どうしたの、なお?」

まるで動かないなおがおかしいかのようにれいかが言う。

なおはなかなか動こうとしない。

その場でじっと座っている。

一方のれいかも同じ体勢のままじっと待っている。

動いたのはなおの方だった。

畳の上を這うように少しずつ近づいていく。

れいかはずっと手を広げたままだ。

なおが頭を膝の上にのせる。

その様子にれいかは嬉しそうに微笑む。

なおはれいかの方を向こうとしない。

れいかの手がそっとなおの頬に触れる。

恥ずかしいのか、なおはそっぽを向いたままだ。

れいかはもう片方の手で髪を撫で始める。

だんだんなおの顔が落ち着きを取り戻し始める。

「にゃー」

なおが自然と猫語を使い始める。

「もっと撫でてほしいの?」

「にゃん」

れいかには通じたようだ。

意図が伝わってなおは嬉しそうな顔をする。

優しくれいかが髪を撫でる。

さきほどまでの恥ずかしそうな表情は消えている。

少ししてなおがすっと立ち上がる。

「どうしたの、なお?」

なおが何を考えているのか分からないといった表情をしている。

「にゃん!」

大きな声と共にれいかを押し倒す。

突然のことにれいかは声を出せないでいる。

二人の上半身が座布団の上にあるような状態だ。

なおの顔がれいかのすぐ横にある。

「ひゃっ」

れいかが普段出さないよう高い声を出す。

頬をなおが舐めている。

何度も、猫のように舌を出して舐める。

今度はれいかが顔を赤くする番だ。

自分のことを愛撫してくるなおにどぎまぎしているようだ。

しばらくしてなおが一旦その動きを止める。

れいかがなおの方を向き、二人が見つめ合う形になる。

チュッ

自然となおが顔を近づけていく。

今度は軽くキスをした。

れいかの頬ではなく唇の方だ。

向き合ってからほんの数秒後のことで、れいかは目を見開いたままだ。

なおがすぐに唇を離す。

れいかのはぼうっとなおの方を見ている。

なおが顔をゆっくりと近づけていき、れいかも目を閉じる。

再び二人が唇を合わせる。

今回も短いキスだった。

前と同じくらいで唇を離す。

すぐに、なおが頬をれいかのに近づけてくっつけてくる。

お互いの頬を寄せ合い笑い合う。

れいかも落ち着きを取り戻してきた。

時より頬にキスをしたりもする。

二人の表情はとても幸せそうに見える。

そこに言葉はいらないようだ。

少しして、なおが自然とれいかの胸にうずめるように抱きつく。

「にゃん」

れいかも自然な形でなおの体を抱きしめる。

二人とも目を閉じて嬉しそうな表情をしている。

二人はそのままの体勢で休日の昼を過ごした。
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